新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

180: ソコイトヨリ

スズキ目スズキ亜目イトヨリダイ科イトヨリダイ属
学名:Nemipterus bathybius Snyder
英名:Bottom threadfin bream [原], Yellowbelly threadfin bream, Yellow-bellied threadfin-bream, Yellow belly

市場などでは別名バケ、バケイトヨリ。体長約20cmの個体から摘出。近縁のイトヨリダイのものと比べると、「底糸縒のソコイトヨリ」は、1)肩甲骨先端の丸い部分があまり大きくならない、2)肩甲骨孔は比較的小さめ、3)烏口骨上方の突起部はあまり突出しない、4)烏口骨の『嘴』部分が捩れたようにならないなどの点が異なっている。

鮮魚店などでは外見の良く似たイトヨリダイとは区別されずに売られていることも多い。ソコイトヨリとイトヨリダイを最も簡単に区別する方法は、腹の色の違いを見分けること。腹側が蛍光のペンキでも塗ったように黄色であればソコイトヨリ(写真右の下)、腹側が白ければイトヨリダイ(写真右の上)である。

またイトヨリダイには鰓蓋の後方、側線直下に細長い赤色の小斑点がある(写真右)。ソコイトヨリにはこれがない(写真左)。またイトヨリダイの方は口元や目元にも黄色のラインが数本走る。

更にソコイトヨリの臀鰭は無斑で3棘7軟条(写真左)、イトヨリダイの臀鰭は2本の黄色帯が縦走し3棘8軟条(写真右)である。

八王子総合卸売センター内、高野水産で購入。イトヨリダイとソコイトヨリが混在しているトロ箱(産地不明)から、外見と味を比較するために1匹ずつ選んで購入したもの(ちなみに当日はキロ800円)。刺身(皮霜づくり)、昆布締め、酒蒸し、ハーブ焼きにしたが、特に熱を掛けた時に立ち上る独特の芳香が堪らない。身は少々柔らかいが、甘み/旨味に溢れた素晴らしいもので非常に美味。イトヨリダイとソコイトヨリの味の比較(ちなみにソコイトヨリの方が一般的に安価)という点に関してだが、同じくらい新鮮でほぼ同じサイズのものを同じ料理にして食べるならば全く遜色なし。あくまで個人的な「好み」の問題ではあると一応書いておくが、実際のところ刺身などはソコイトヨリの方が美味いなと思った次第。

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【おまけ】上記以外にもソコイトヨリとイトヨリダイを見分ける方法があるので、参考までに列記しておく。

上がイトヨリダイ、下がソコイトヨリ。イトヨリダイは体側を縦走する黄色帯が6本、ソコイトヨリは2本(写真左)。また糸状になる尾鰭上端がイトヨリダイよりもソコイトヨリの方がより太く短い(写真右)。

ソコイトヨリ(左)は腹鰭基部が黄色くなるが、イトヨリダイ(右)の腹鰭基部は白色で、軟条に沿って黄色いラインが数本入る。

ソコイトヨリ(左)の背鰭には淡色の斑点が散らばるが(この写真では見にくい)、イトヨリダイ(右)の背鰭にはそのような斑点はなく、基部と先端に黄色帯が縦走する。

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