新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

245: ヤライイシモチ

スズキ目スズキ亜目テンジクダイ科ヤライイシモチ属
学名:Cheilodipterus quinquelineatus Cuvier
英名:Five-lined cardinalfish [原], Fiveband cardinalfish, Sharptooth cardinal

沖縄名ウフミー、インヌハー。沖縄県宜野湾での釣りもので、体長約12cmの個体から摘出した左右の「魚のサカナ」。「ヤライイシモチ(漢字不明)のヤライイシモチ」は、テーブルナイフの様な形をした烏口骨の『嘴』部や、その下部の湾入部の形など、いくつかの特徴はやはり他のテンジクダイ科の「魚のサカナ」と共通するが、1)肩甲骨の前縁の下部が後方へ曲がるため、肩甲骨と烏口骨本体の作る形が『マフィン』のような形に見えること、2)肩甲骨/烏口骨とも、肩甲骨孔以外の小孔が認められないこと、3)肩甲骨と烏口骨の結合部のライン上の一部分が引っ掻かれたようにギザギザになっていることなどは、明らかな相違点として挙げられる。

「ヤライ”イシモチ”」の名前から予想できる通り、耳石は体長に比して大きい。ただし一般に「イシモチ」と呼ばれるシログチなどはスズキ目スズキ亜目ニベ科に属し、本稿のヤライイシモチ(スズキ目スズキ亜目テンジクダイ科)とは全く別の科の魚である。実際「魚のサカナ」の形も全く異なる(リンク先参照)。



「日本産魚類検索 全種の同定 第2版」の同定の『鍵』を辿り、1)後頭側骨に棘がない、2)側線は顕著で尾柄まで達する、3)両顎に犬歯状歯がある(写真中段左)、4)尾鰭は2叉型でその最長軟条は分枝する(写真中段右の赤矢印)、5)腹部に発光腺がない、6)第1背鰭は6棘(写真下段左/ちなみに第2背鰭は1棘9軟条)、7)前鰓蓋骨は鋸歯状(写真下段右の赤四角)、8)体側に5本の細い黒色縦帯がある、9)尾柄の黒色斑には黄色の縁取りがある(写真中段右)などの形質からヤライイシモチと判断。これまで紹介してきたテンジクダイ科の魚に比べると、体型がかなり細長い印象で、外見的には上記の8)と9)の形質が最大の特徴であると思われる。

今回は食べていないので、残念ながら食味などは分からない。

【注】FishBaseによると、中国では「五帯巨牙天竺鯛」と呼ばれるらしい。正に「名は体を表す」である。