新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

125: ツバメウオ

スズキ目ニザダイ亜目マンジュウダイ科ツバメウオ属
学名:Platax orbicularis (Forsskål)
   (「日本産魚類検索 全種の同定」では Platax teira (Forsskål) )
英名:Longfin spadefish, Longfin batfish, Teira batfish, Tall-fin batfis

地方名ツマグロダイ(燕鯛/富山県)、ナンバンカーサー(沖縄)。大分産の活け〆の鮮魚(全長約40cm)から摘出。烏口骨に比べて肩甲骨が小さめのため、少々バランスの悪い『小顔』の「魚のサカナ」になっている。また烏口骨の『嘴』の付け根が広がっているため、後半部は太くがっしりした印象。

拡大図。

外見はどうみても熱帯魚/観賞魚系(実際ダイバーには人気の魚なんだとか)だが、実はかなり美味い魚。新鮮ならばまずは刺身。身質が非常に良くコリコリした食感で、旨味にあふれ脂も良く乗る。巨大な鰭の『エンガワ』が特に美味なので、鱗をすき引きして、ヒラメ/カレイの様に5枚下ろしにするのがおススメ。昆布締めにしても美味。また潮汁やバターソテーなど火を通す料理にしても旨味たっぷりで美味。予想以上に可食部も多い。八王子総合卸売センター内、高野水産で購入。

腹鰭が黄色いこと、腹側部に黒斑があること、尾鰭付け根付近に黒帯がないことで、近縁のミカヅキツバメウオと区別できる。


注:2005年出版の「新訂原色魚類大圖鑑」では、ツバメウオの学名は上記したように Platax orbicularis (Forsskål) となっているが、これはFishBaseも同じで、同エントリーのCommon names欄には和名の「ツバメウオ」もリストアップされている。ところが2000年出版の「日本産魚類検索 全種の同定」では、この P. orbicularisはナンヨウツバメウオの学名とされており、ツバメウオの学名として掲載されているのは Platax teira (Forsskål) 。そこでFishBaseで P. teira を調べてみると、このエントリーのCommon names欄には「ミカヅキツバメウオ」がリストアップされている。しかしながら「日本産魚類検索 全種の同定」にミカヅキツバメウオの学名として掲載されているのは Platax boersii Bleeker。そこで P. boersiiをFishBaseで調べると、このエントリーには和名の記載が全くない、、、ではナンヨウツバメウオの学名は?ただ「新訂原色魚類大圖鑑」にイラストが掲載されているのは「ツバメウオ」のそれも若魚のみ(つまり「ナンヨウ〜」と「ミカヅキ〜」のイラストはない)である上に、「ツバメウオ」の種の特徴として「各ひれは黒い」という奇妙(?)な記述があることから推察すると、もしかしたら原色/FishBase側が混乱しているのかも。