新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

236: ホオアカクチビ

スズキ目スズキ亜目フエフキダイ科フエフキダイ属
学名:Lethrinus rubrioperculatus Sato
英名:Spotcheek emperor, Red-eared emperor, Red-edged emperor, Red-gilled emperor, Scarlet-cheek emperor

手持ちの資料によれば、沖縄名オームルー、イノームルー、ムルーイユ(今回はホオアカクチビのみで売られているのを見ていないので「店頭表示」は不明)。沖縄産の体長約22cmの個体から摘出した左右の「魚のサカナ」。写真左の標本は、下ろす時に失敗して烏口骨の『嘴』部分より先が欠けてしまった。またエタノール固定中に少々黄変してしまったのが残念。

写真上の右側の標本を「魚のサカナ」の両側から観察。これまで摘出してきた「魚のサカナ」の中では同じフエフキダイ属のイソフエフキのものに最も似ているが、「頬赤クチビ(漢字不明)のホオアカクチビ」では、1)肩甲骨孔がより細長いこと、2)烏口骨本体部の後縁が直線的であること、3)烏口骨の『背鰭』部分に小孔がないこと、4)烏口骨の『嘴』部分が弧を描かず、直線的により長く伸びることなどを相違点として挙げられる。

「頬赤クチビのホオアカクチビ」も、イソフエフキのもののように烏口骨の『背鰭』部分が大きく波の様にうねる(ちなみに写真中段右でもある程度「うねり」が確認できる)。



「日本産魚類検索 全種の同定 第2版」の同定の『鍵』を辿り、1)頬部に鱗がない(写真中段左)、2)胸鰭軟条は「13」(写真中段右)、3)背鰭は10棘9軟条、4)胸鰭基部の内側に鱗がない(写真中段右)、5)背鰭棘条中央下での側線上方鱗数は「5」(写真下段左)、6)体高は頭長よりも小さい、7)前鼻孔と後鼻孔の間と、後鼻孔と眼前縁の間がほぼ同じ長さ(写真中段左)、8)吻部に暗色線がない(写真中段左)、9)頭部外縁は眼の上が隆起する(写真中段左)、10)頬部に暗色斑点がない(写真中段左)、11)上唇は黄色くない(写真中段左)、12)両眼間隔域は凹まない(写真下段右)、13)眼の前方、前鰓蓋骨、胸鰭基部に赤色域がない(写真中段左)、14)主鰓蓋骨後縁に赤色の無鱗域がある(写真中段左)ことからホオアカクチビであると判断。

泊いゆまち内・かねは水産で購入した「トレイ1盛り1,000円」の中の1匹。切れ端を生で食べてみたが、非常に上品な旨味(=あまり多くない)だったので、今回は皮付きのまま味噌汁の具に。磯の香りも程良く、生では物足りなかった旨味も立ち、なかなか美味。