新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

3: ヘダイ

スズキ目スズキ目スズキ亜目タイ科ヘダイ亜科ヘダイ属
学名:Rhabdosargus sarba (Forssakål)
英名:Tarwhine [原], Porgy, Silver sea bream, Goldlined seabream, Natal stumpnose, Yellowfin bream

地方名シロダイ(小田原/ただし今回の店頭表示は「ヘダイ」)。神奈川県小田原産の全長約25cmの活け〆個体から摘出した左右の標本。「平鯛のヘダイ」の形は、これまでに紹介した他のタイ科の「魚のサカナ」に良く似ており、言うなれば「オーソドックス」なもの。ただし、1)肩甲骨が比較的横に細長い、2)烏口骨の『嘴』部分が少々太めで全体的に直線的(ただしこの標本では途中が凹んでいるように見える)、3)烏口骨の上方突起部の前縁は直線的で顕著に立ち上がるなどの相違点があり、全体的にがっしりした印象を与えるもの。



「日本産魚類検索」の同定の鍵を辿り、1)上顎(写真下段左)の側部に4列、下顎(同右)には3列の臼歯がある、2)両眼域の隆起は大きくない(写真中段左)、3)体は銀白色、4)頭の鱗域は両眼間隔域に達しない(写真中段左の赤矢印が鱗域の前縁)、5)臀鰭軟条数は11、6)背鰭棘条部中央下の側線上横列鱗数は6.5(6枚+小鱗0.5/写真中段右)、7)側線鱗の管は太い(写真下左)などの形質からヘダイであると判断。外見が少なからずクロダイなどにも似るが、ヘダイの腹鰭や臀鰭(写真下右)は黄色く、体側には幾本もの黄褐色線が縦走し(写真中段右)、吻部が比較的短く丸いなどの特徴からも見分ける事が可能。

2011年9月に八王子総合卸売センター内、高野水産で購入(当日はキロ1,300円/0.48kg)。眼も鰓も体も新鮮そのもので、店頭に並べられている段階ではまだ死後硬直中あったことから、恐らく朝穫れの活け〆ものであると推察。驚くほど脂が乗っており、下ろしている時に手がベトベトになってしまったほど。今回は身は刺身、アラは潮汁に。半透明の美しい身で、キメは非常に細かい。歯の間で切れる時の感触も素晴らしい。身には大量の旨味が含まれており非常に美味い。ただし上記の通り脂の乗りが尋常でなかったせいか、ポン酢よりワサビ醤油の方が合うように思われた。潮汁に溶け出している旨味は多く、こちらもかなり美味い。やはり脂がたっぷり浮いていたため、醤油を何時もより多少多めに垂らし、ワサビを効かせたらより美味くなった。


【注】「日本産魚類検索 全種の同定 第2版」では、ヘダイの学名として Sparus sarba (Forssakål) を掲載しているが、2012年2月現在FishBaseではこの名前をシノニムとしている。

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本「図鑑」開設当初に紹介していた「平鯛のヘダイ」。


(2/25/12 全面改稿および写真追加)