新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

117: ハモ

ウナギ目ハモ科ハモ属
学名:Muraenesox cinereus (Forsskål)
英名:Purple pike conger [原], Daggertooth pike-conger

京都シリーズ第3弾は、関西の夏の風物詩である「ハモ」をご紹介。ある程度予想はしていたが、この時期の京都は正に「ハモ天国」(捕獲されるハモにとっては「地獄」以外の何物でもないだろうが)の様相を呈しており、料理店、市場、百貨店などはもとより、極々普通のスーパーにさえ骨切りされた活ハモや「落とし」のパックが大量に並んでいる状態。確かに近年関東のスーパーなどでも「落としハモ」のパックが並んでいるのを見る機会が増え(とはいっても味の抜けた「輸入/解凍品」がほとんどだが)、多少なりとも関東でもハモが市民権を得つつあるような気はするが、このような関西の実情を目の当たりにすると、関東ではやはりまだまだなんだな、、、と、残念ながら関東在住(作りたての「活ハモの落とし」が大好物ゆえ)の田舎侍は思ってしまう訳だ。

上の「鱧のハモ」は、山口産の「本ハモ」と表示され売られていた個体から摘出。あくまで個人的な見解で恐縮だが、全体のイメージが「ちょんまげ付きの犬の横顔」に見える。左側「犬の鼻先からおでこ」にかけてが肩甲骨(「犬の目」に相当する部分が肩甲骨孔。その上にある丸い部分は骨の中の気泡?で孔は開いていない)、右側の「耳」に見える部分が烏口骨。その下方に外側(右側)方向に伸びる極細の擬鎖骨の端が結合していた。くさび形の射出骨(「ちょんまげ」に相当)付。アルコール処理前。

アルコール処理後の胸鰭軟条付き標本。くさび/ちょんまげ部分が射出骨であることを理解して頂けるはず。アルコール処理によって肩甲骨/烏口骨の境目が良く分かるので、かなり幅広の軟骨質部分で両者が繋がれていること、また犬の「口」部分は同じウナギ目のマアナゴのものより突き出ているが、その「鼻先から下側部分」は肩甲骨の一部ではなく、それに結合した軟骨組織であることが確認できる。

注:ただし購入時には既に下し&骨切り済で、肛門前の側線孔数を数えられなかったため、近縁種のスズハモ(M. bagio (Hamilton))である可能性はゼロではないことを書き添えておく。ちなみにこの部分の側線孔数が、スズハモ:33~39/ハモ:40~47であることから両種を区別することが可能。