新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

118: ナガレメイタガレイ

カレイ目カレイ亜目カレイ上科カレイ科カレイ亜科メイタガレイ
学名:Pleuronichthys japonicus Suzuki, Kawashima et Nakabo
英名:Frog flounder (但しメイタガレイと共通)

別名ばけめいた(化けメイタ)。鳥取県産の鮮魚から摘出した射出骨付き標本。上が有眼側、下が無眼側。太くがっしりした、少々ずんぐりむっくりな印象の「魚のサカナ」だが、無眼側のものの「目」が微笑んでいるようにも見えてなかなか可愛らしい。全体的な形だけでいえばヒレグロのものと似た印象だが、細部までしっかり比較するとやはり異なっている。

両眼の間に棘(赤丸)があって、ここを持つと痛いから「目痛/メイタ」になったという説がある。ナガレメイタガレイの体表には真円状の黒斑紋が多数並んでおり、この斑紋が不定形となる近縁種のメイタガレイと区別できる。また正面から見ると、英名が「Frog flounder」になった理由が理解できる。

独特の香りがある皮を剥いて煮付けにしてみたが、旨味も多くて美味。多少パサ付く感じはしたが、頭が小さく身が厚い分「食べ出」もある。身離れも良い。関西ではスーパーなどの店頭でもしばしば見かけるが、関東ではほとんど見かけないという地域差あり。

注:ナガレメイタガレイは以下の論文に新種として記載されたことで、ようやく学名も確定(そのため2005年出版の「新訂原色魚類大圖鑑」と2000年出版の「日本産魚類検索 全種の同定」では"Pleuronichthys sp."表記になっている)。
Shotaro Suzuki, Takatoshi Kawashima and Tetsuji Nakabo, Taxonomic review of East Asian Pleuronichthys (Pleuronectiformes : Pleuronectidae), with description of a new species. Ichthyol. Res. 56: 276-291 (2009)