新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

129: ギンポ

スズキ目ゲンゲ亜目ニシキギンポ科ニシキギンポ属
学名:Pholis nebulosa (Temminck and Schlegel)
英名:Tidepool gunnel [原]

体長約25cmの個体から摘出。大きな孔が空いた射出骨を含めると、全体的に三角形に近い、なんとなくかわいらしい形をした「魚のサカナ」。ギンポの外形(あくまで個人的な見解だが「美しい」あるいは「かわいい」と思う人はあまりいないのでは?)には全く似ていない。骨自体は非常に薄い。

また同じゲンゲ亜目のカンテンゲンゲシロゲンゲのものともあまり似ておらず、特に射出骨の形は全く似ていない。

写真左は上の写真の右側の標本を拡大したもの。肩甲骨下方に小さな肩甲骨孔があるが、その辺りだけを見ると「イルカ」の顔のようにも、○ンリオのキャラクターである「キ○ラ○」の顔のようにも見える。また写真右の様に斜め方向から撮影すると、烏口骨の上方突起が立体的に折れ曲がっているのを確認できる。ちなみに烏口骨の上方突起の根元付近から斜め前方に伸びる細長い目のような部分は、他の部分よりも更に薄く、標本によってはここに孔があるものもあった。

「うみどじょう」と呼ぶ地方もあるそうだが、それも納得できるような外形。背鰭はほぼ棘のみになっており、無毒だが手に刺さるとそれなりに痛い。

腹鰭(青丸)は極小でほとんど痕跡のような状態。

ギンポの体色はバラエティに富むが、1)頭部にも細かい鱗がある(写真左)こと、2)尾鰭の周囲が白色または透明になる(写真右)ことで同じ科の他の魚と区別できる。また魚類の分類群には『スズキ目ギンポ亜目』があるのだが、ギンポが分類されるのは『スズキ目ゲンゲ亜目』。つまり標準和名「ギンポ」は『ギンポ亜目』に含まれないというおかしなことになっているので要注意。

関東、特に東京でギンポ料理と言えば「天ぷら」。残念ながら今回は「活け」ではなかったが、臭みも小骨も全く気にならず、また旨味が多くかなりの美味。食感はマアナゴに良く似た感じで、噛みごたえがある。八王子総合卸売センター内、高野水産で購入。