新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

143: マハゼ

スズキ目ハゼ亜目ハゼ科ゴビオネルス亜科マハゼ属
学名:Acanthogobius flavimanus (Temminck and Schlegel)
英名:Yellowfin goby [原], Spotted goby, Japanese river goby

愛知県東幡豆の小さな漁港での釣りの獲物(体長約15cm)から摘出。射出骨付き。写真左の左側の標本は更に胸鰭の軟条付き取り出したもの。巨大な射出骨の下に、細長い帯状の肩甲骨(肩甲骨孔が確認できる)が張り付いているような形。射出骨の境目部分はほぼ直線状に結合しており、特に大きな孔は観察されないが、中央部分の一部が引っ掻かれたようになっている。上方の突出部分も含め、烏口骨は比較的「普通」な印象。



マハゼと生息域も外見も良く似るウロハゼ(ハゼ科ウロハゼ属)とは、1)下顎が突出しないこと(写真左)、2)後頭部に黒点がないこと、3)尾鰭に明瞭な斑紋があること(写真右)、4)鱗がより小さいこと(マハゼの縦列鱗数は45以上、ウロハゼは30前後)、5)体色が黒っぽくならないことなどで区別可能。ただし日本だけでもあまりに多く(約400種)のハゼ科の魚が生息しており、その同定はしばしば困難である

定番の天ぷらはやはり最高に美味い。活けものなら刺身も非常に美味だが、汽水域にいる魚は有害異形吸虫に寄生されている可能性があるようなので十分注意されたい(もし生食する場合は自己責任で)。


注:上の魚は釣り上げた時点からどう見ても「マハゼ」だった訳だが、念のために「日本産魚類検索 全種の同定 第2版」を辿ることに。今回は同書のp.1154-1155に掲載されているハゼ科の魚の「一形質簡易検査」で、「第1背鰭の棘が8棘以上」という形質からスタート。

1)まず第1背鰭が10棘以上でない(もちろん5棘でもない)ことからトビハゼ属ではない。
2)顔のどこにもひげがないことからヤキインハゼとサビハゼ属ではない。
3)胸鰭上縁の軟条が遊離しないことからヌエハゼとキヌバリ属ではない。
4)眼が著しく大きくないことからヤミハゼではない。
---> この段階でマハゼ属であることが確定。あとは:
5)頬と鰓蓋に鱗がある(アシシロハゼ/ミナミアシシロハゼではない)。
6)尾鰭に点列がある(ハゼクチではない)。
7)第2背鰭は1棘14条である、、、ことから「マハゼ」と確定した次第。