新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

144: ニホンウナギ

ウナギ目ウナギ亜目ウナギ科ウナギ属
学名:Anguilla japonica Temminck et Schlegel
英名:Japanese eel [原]

愛知県三河湾産の養殖モノ(全長約45cmの開いた「生」個体)から摘出した左右の標本。写真左の左側の標本は胸鰭の軟条付き。非常に脂分が多いためか、骨の透明度が低い。上の方の「扇」型に広がった部分が射出骨。肩甲骨(写真内側/細長い肩甲骨孔が見える)と烏口骨(写真外側)が作る「魚のサカナ」の形は、全体的にハモのものよりマアナゴのものにより近い。右側の標本(拡大図)の肩甲骨の先端部が少々いびつな形になっているが、計2個体から摘出したこれ以外の3つの標本は、基本的に「おにぎり」のようなほぼ三角形であった。

国内に生息するもう1種のウナギ属の魚であるオオウナギとは、体にまだら状の斑紋がないことと、背鰭起部が胸鰭後端と肛門の中間点よりも後方にあること(背鰭起部と肛門の位置を爪楊枝で示した)で区別できる。

またヨーロッパウナギ Anguilla anguilla Linnaeus (英名:European eel/ちなみに中国産の養殖ウナギのほとんどはこの種を畜養したものという話)とは、背鰭/臀鰭の先端部がわずかに高くなること(写真右)と体色(ヨーロッパウナギは緑褐色)で区別できる。「新訂原色魚類大圖鑑」p.72 参照。

今更書くまでもないが、蒲焼き/白焼きとも非常に美味。蒲焼きを作る時に、東西で蒸す(関東)/蒸さない(関西)という違いがあることは一般にも知られるようになってきたが、個人的にはどちらかと言えば関西風の方が好み(もちろん関東風も大好物だが)。ウナギの蒲焼きとキュウリの薄切りの酢の物である「うざく(うなぎの三杯酢和え)」も美味い。ただしウナギの血液中には「イクシオトキシン」という神経毒(ちなみにこの毒は熱を通せば失活するので火を通せば安全)があるため生食は不可。ネットで検索すると「ウナギの刺身」を出している店もヒットするが、生食する場合は自己責任で(万が一の場合も当方は責任を持ちません)。

自分で確認した限り、蒲焼き/生とも愛知県以西では頭付きのまま販売されているが、逆に関東のスーパーなどで頭が付いて売られているのを見たことがない。蒲焼きにする時に「蒸す/蒸さない」という料理法の違いとの相関関係はあるのだろうか。

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滋賀県近江今津にある西友川辻店で2011年7月に購入した、琵琶湖産の天然もの(といっても体長は30cmほどの小型個体)の蒲焼きから摘出した標本。射出骨は外してある。

滋賀県のウナギの蒲焼き(炭火焼き/当日は1匹あたり1,000円弱)なので、「腹開き」で「頭付き」、当然「蒸しなし」の直焼き。そもそも養殖ものほど脂が乗っていない(サイズ的な問題の可能性はあるが)ので、しっかりした食感になる。旨味成分は非常に多い。非常に美味いが、後味に微かな「泥臭さ」のようなものも感じた。

(02/08/12 一部改稿/写真追加)