新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

311: モツゴ

コイ目コイ上科コイ科カマツカ亜科モツゴ
学名:Pseudorasbora parva (Temminck and Schlegel)
英名:Topmouth minnow [原], Stone moroko, Stone moroco,False razbora, Topmouth gudgeon

地方名くちぼそ(口細/ただし関西ではムギツクをクチボソということがあるそうなのでご注意)。愛知県岡崎市の野池で採集した全長約6cmの個体から摘出(もちろん実体顕微鏡を使用)した左右の「魚のサカナ」。左側の標本は中烏口骨付き。「持子/脂魚のモツゴ」の形は、これまでに紹介してきたコイ目の「魚のサカナ」の中ではビワヒガイのものに最も似ているが、1)肩甲骨と烏口骨の下縁が直線的である、2)中烏口骨が比較的細く、特に後半部分は糸状である、3)烏口骨後部の『嘴』に相当する領域は下方に向かわないなど幾つかの相違点を挙げることができる。写真右は、写真左の左側の標本を反対側から観察したもの。中烏口骨の前後とも肩甲骨/烏口骨の下縁に接しているため、「魚のサカナ」のどちら側から観察してもその形がほとんど変わらない。

別の個体から摘出した射出骨付きの標本。「持子/脂魚のモツゴ」に結合した比較的大きな第4射出骨は、コイのものと同じように第3射出骨の上に乗ったような形である。



「日本産魚類検索」のコイ科の同定の鍵を辿り、1)背鰭の最長棘条に鋸歯縁がない、2)臀鰭起部(写真下段左の赤線)は背鰭基底後縁(同緑線)より後にある、3)眼の上縁は吻端よりも上(写真中段左)、4)口にひげがない(写真中段左)、5)腹縁は丸い、6)眼の上縁は銀白色(写真中段左/朱色ではない)、7)背鰭の分枝軟条数は7(写真中段右)、8)口は吻端にある(写真中段左)、9)胸鰭は垂直位、10)背鰭と尾鰭に顕著な斑紋がない、11)口は著しく小さく、上向きで受け口(写真中段左)、12)側線は完全で尾柄部まで達する(写真下段右の赤矢印)などの形質からモツゴであると判断。なお、この個体では体側の黒色縦帯は明瞭ではない。

メバル釣りのエサ用のスジエビを掬っている時に網の中に入ってきたもの。捕獲したのは2匹のみで、採集地の池があまりきれいではなかったこともあり今回は食していないが、佃煮などになる模様。


【注】コイ科の分類体系は構築途上にあるため、今後の研究の進展によっては亜科名などが大幅に変更になる可能性も高いという話。