新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

153: オキトラギス

スズキ目ワニギス亜目トラギス科トラギス属
学名:Parapercis multifasciata Döderlein
英名:Bicolorbarred weever [原], Gold-birdled sandsmelt

愛媛産の体長約12cmの個体から摘出した射出骨付きの標本。全体的に丸っこい印象を受ける「魚のサカナ」。烏口骨の「背鰭」部分に小孔があることや、肩甲骨孔が烏口骨との境界線に接していること、肩甲骨/烏口骨下部が凹凸になることなどは近縁のクラカケトラギスのものと共通している部分。逆に、全体的にクラカケトラギスのものより横長であること(バランスはオキトラギスのものの方が良いと思う)、肩甲骨/烏口骨上部が凹凸にはならないこと、烏口骨の『嘴』部分がより太くて丸っぽく、骨の中央にある「筋」も曲線であること、この「筋」の下側にシート状の広がりがあることなどが相違点として挙げられる。


実はこの魚、前のエントリーで紹介したアカヤガラの『最後の晩餐』(故に愛媛産)。アカヤガラが丸呑みで食餌をすることを反映してか、お腹の中にほとんど消化されていない状態で入っていたものだが、体躯部分と尾鰭にある特徴的な模様(写真左)がはっきり残っていたことから、簡単に「オキトラギス」と同定できたもの(勿論念のために「日本産魚類検索」も辿った)。オキトラギスの特徴の一つである「上唇の紅色」も多少残っている(写真右)。

そんな訳で今回は口にしなかったが、他のトラギスの仲間同様に「天ぷら」にすると美味いらしい。