新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

159: オキタナゴ

スズキ目スズキ亜目ウミタナゴ科オキタナゴ属
学名:Neoditrema ransonnetii Steindachner
英名:Ransonnet's surfperch [原], Japanese surfperch

城ヶ島産シリーズ」第4弾。体長約12cm(吻から尾の先端まで)の雄個体(尾鰭軟条の上下端が尖る)から摘出。同じウミタナゴ科のマタナゴのものと同様に、烏口骨の『嘴』部分が非常に短い。マタナゴのものとの相違点としては、1)肩甲骨孔が細長い楕円形であること(マタナゴではほぼ円形)、2)オキタナゴのものは烏口骨自体も前後方向に短めで、かつ後半部分が内側にカーブしている(下の写真を参照)ことが挙げられる。写真右(拡大図)は、写真左の右の標本を反対側から観察したところ。よって「魚のサカナ」の中央部分が写真手前方向に膨らんでいることになる。

少々斜め下から観察すると、烏口骨の後半部(『背鰭』に相当する部分を含む)が内側にカーブしているのが良く分かる。


ウミタナゴ科の魚の中で唯一体高が低い(=細長い)種であり、尾鰭の上下が長く伸びる(写真下段右)という特徴もあるので、魚種の同定は比較的容易。また背鰭の棘が6〜7本と少ないことからも他のウミタナゴ科の魚と区別できる。ちなみに FishBase の N. ransonneti のエントリーの"Common names"欄では、和名が"Okitango"(オキタンゴ)になっている。恐らく単なるスペルミスだろうが、何となく可笑しい。

オキタナゴはこれまで口にしたことがないので、食味に関してはコメントのしようがない。

【注】「日本産魚類検索 全種の同定 第3版」では、オキタナゴは「スズキ目スズキ亜目」として掲載されているが、「Fishes of the World, 4th Edition」(2006) では「スズキ目ベラ亜目」とされている。