新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

174: トウゴロウイワシ

トウゴロウイワシ目トウゴロウイワシ科ギンイソイワシ
学名:Hypoatherina valenciennei (Bleeker)
英名:Flathead silverside [原], Sumatran silverside, Valencienne's hardyhead

静岡県熱海産の体長約13cmの釣りものから摘出。非常に透明感のある、全体的に四角い印象を与える「魚のサカナ」。写真では分かりにくいが、肩甲骨孔が肩甲骨と烏口骨の結合線上に存在するのは非常に珍しい。肩甲骨の先は丸い。烏口骨の本体部と、『上方突起』および『嘴』部の作る面にある程度の角度がある(写真下参照)ため、烏口骨全体が「魚を背開きしたもの」のようにも見える。またネットなどでトウゴロウイワシについて調べると「ボラやダツなどに近縁」との記述が散見されるが、上述したような「魚のサカナ」の特徴を見る限り、どちらかといえばボラ目よりもダツ目、特にサヨリのものに似ている(「開き」の写真手前側のテント様部分を除いたものを想像して頂きたい)ような印象を受けるが如何だろうか。

「藤五郎鰯のトウゴロウイワシ」を横から見たところ。かなり波打った立体的な形であることが分かる。


トウゴロウイワシは、頭部に小棘列がないこと(写真下段左)、肛門が腹鰭の基部と先端の間に開孔すること(写真下段右/赤丸が肛門)、体側鱗が鈍い櫛鱗になっていることなどで、他のトウゴロウイワシ科の魚と区別できる。ちなみに標準和名に「イワシ」と付くが、マイワシウルメイワシカタクチイワシ等とは「目もく」のレベルで異なり、かなり遠縁になるので念のため(実際「藤五郎鰯のトウゴロウイワシ」には中烏口骨が存在しない)。

今回はなかなか新鮮な状態でもらったので刺身に。鱗がかなり固く、基本的に小型サイズであるため3枚に下ろすのは手間だが、頭の方から皮を剥がしてやると「血合い」の見た目も含めて、サヨリに非常に似た感じの透明な身が現れる。非常に旨味が多く、身もコリコリとした歯触りの良質なもので、かなりの美味。