新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

183: シロダイ

スズキ目スズキ亜目フエフキダイ科メイチダイ属
学名:Gymnocranius euanus Günther
英名:Drab large eye bream [原], Japanese large eye bream, Speckled emperor, Paddletail seabream

地方名シルイユー(沖縄)。体長約40cmの個体(産地を確認するのを失念したが、どうやら小笠原産)から摘出。「魚体のサイズからするとかなり大きい」というのが初見時の印象。実際は最長部で約5cm。「魚のサカナ」全体としては丸っぽい感じで、前後方向には短め。比較的小さめの肩甲骨に開いた丸く巨大な肩甲骨孔が大きな特徴。また肩甲骨先端部の曲線の具合がシロダイの魚体頭部の形を彷彿させる。烏口骨本体が上下に幅広なので少々バランスが悪いが、立派な上方突起部(『背鰭』)を含めた後部(この図鑑では『嘴』と書いている部分)だけを見ると、その形はなかなか美しい。

上から(実際は魚体の後方向から)見ると「白鯛のシロダイ」も『背鰭』部分が波打っているが、前に紹介した同じフエフキダイ科のイソフエフキのものほど激しくはない。



メイチダイ属の近縁種との区別はなかなか難しく(特に尾鰭の形の良く似たタマメイチとの区別は困難)、実際今回も店頭での表記は「目一」。この魚は、1)頬に鱗があり、胸鰭/背鰭/臀鰭の軟条数がそれぞれ「14/10/10」、2)主上顎骨に鋸歯状隆起なし(写真中段左)、3)上下顎側部の歯が臼歯状(写真中段右/これは筋肉等を除去して標本にしたものだが、鮮魚の時でも確認可能)、4)背鰭棘条部中央下の側線上方横列鱗数が「5」(写真下段左)、5)背鰭縁辺が白い(写真下段左の赤矢印/鰭膜が完全でなかったので分かりにくいが)ことからシロダイであると判断。ちなみにタイ科のヘダイを「シロダイ」と呼ぶ地方(小田原付近など)もあるようなので混同には御注意(本稿で紹介した標準和名シロダイは明らかに南方系の魚)。

八王子総合卸売センター内、高野水産で購入(当日はキロ1500円)。皮を引いた普通の刺身と、焼き霜づくりに。少々柔らかいが、血合い部分がほとんどない真っ白に透き通った身。脂がかなり乗っており、旨味や甘みに溢れ非常に美味い(小学校高学年の息子が「箸が止まらない」と言いながらパクついていた)。「焼き霜」の方が香ばしさと旨味は増すのだが、同時に皮目の磯の香りが多少目立ってしまう感も。ハーブと塩コショウをしてオリーブオイルで焼いたものも美味。

注:あくまで偶然の一致なのだが、シロダイの英名(の幾つか)が「大きな眼の鯛」というのは面白い。