新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

191: カワビシャ

スズキ目スズキ亜目カワビシャ科カワビシャ亜科カワビシャ属
学名:Histiopterus typus Temminck and Schlegel
英名:Sailfin boarhead [原], Threebar boarfish, Sailfin armorhead, Deepsea armourhead

愛知県一色産の体長約17cmの個体から摘出した左右の標本。「カワビシャ(漢字不明)のカワビシャ」は、1)三角形に近い肩甲骨に幅広の烏口骨本体が結合、2)肩甲骨孔は比較的大きめ、3)烏口骨の上方突起(『背鰭』)部は小さいめながら鋭角的に尖る、4)烏口骨の『嘴』部分下部は四角に近い形で入り込み、『嘴』自体も途中でわずかながら内側に曲がるなどの特徴がある、、、が、実際のところ、下の写真からも分かるように本体の形が非常に「個性的」なことから「魚のサカナ」にもかなり独特の形を期待していたので、余りにも典型的な「スズキ亜目の魚のサカナ」の出現に拍子抜けしてしまったのは否定できない。写真左の左側の標本の『背鰭』部根元には小孔あり。また右の拡大図は写真左の右側の標本を反対側から見たところ。


日本近海にはカワビシャ科の魚は4種しか生息していないので同定は比較的容易。今回の魚は、1)背鰭は4棘で、第3および第4棘が長く、第3棘が第4棘よりやや長くて太いこと(写真下段左)、2)臀鰭は3棘で、第2棘が第3棘より長くて太いこと(写真下段右)からカワビシャであると判断した。

愛知県一色漁港にある「三河一色さかな村」で、他の魚と一緒に「トレイ一盛り数百円」で購入したもの。正直トレイにこの魚が乗っているのを見た瞬間(もちろん1匹のみ)に購入決定。今回は眼の色から鮮度的にちょっとビクビクしながらも刺身とソテーに。体高が高い割に身が薄いという特殊な体型で、更に頭背部近くには太い骨があり鱗も固いことから、カレイやヒラメのように5枚下しにしてみたが、これは多分正解。刺身は多少磯の香りを感じないでもなかったが、コリコリとした食感の身はものすごい甘みと旨味に溢れており文句なしに非常に美味(連れ合いは「メチャクチャ美味い」と一言呟いたあと、箸が全く止まらなかった程)。ソテーの方は、更に1日経っていたことも考慮しなければならないが、磯の香りが立ってしまい、悪くはないが刺身程の感動は得られなかった。