新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

190: コロダイ

スズキ目スズキ亜目イサキ科コロダイ属
学名:Diagramma pictum (Thunberg)
英名:Painted sweetlips [原], Painted thick-lipped grunt, Slate sweetlips, Thicklip bream, Yellowdot sweetlips, Sailfin rubberlip

愛知県一色産の体長約15cmの幼魚から摘出した左右の標本。烏口骨上方の『背鰭』部が非常に立派であること、烏口骨の『嘴』部分の付け根が深く湾入することなどは、比較的近縁のコショウダイのものと共通する特徴。ただし「胡廬鯛のコロダイ」では、1)肩甲骨孔がより真円に近い、2)烏口骨の『背鰭』の上部の付け根の根元前側部分の角度が比較的緩やか(コショウダイのものはこの部分が鋭角的)、3)烏口骨の『背鰭』から『嘴』先端へ向かう上部の線が直線的(コショウダイのものは一部が盛り上がる)、4)『嘴』部分がより長く、角度的にも下方に向かっているため、その先端は肩甲骨/烏口骨の作る下部ラインを大きく越える、5)肩甲骨/烏口骨とその間隙の軟骨が作る「魚のサカナ」下部のラインがあまり直線的でないことなどが相違点として挙げられる。

コロダイやコショウダイなどのイサキ科の魚では、稚魚と成魚の体の模様が全く異なる魚種が多く存在する。上の写真の2匹の魚(ちなみに本稿の「魚のサカナ」を摘出したのは左の個体)も稚魚時代の暗色縦帯が成魚の点状の模様に変りつつある個体だが、右側の個体の方がより縦帯が分断されている(=より成長が進んでいる)のをご理解頂けるはず。

市場で頭部にあるオレンジ色の斑点(写真左)を見た瞬間にコロダイの幼魚であることをほぼ確信したが、上記したように稚魚/幼魚/成魚の模様が異なるという問題があることから、帰宅後は何時もの様に『日本産魚類検索』を開き形質を確認。(写真右)今回の魚は下顎に髭はなく、下顎正中線上に縦長の溝もない。また眼の下縁は吻端より上方にある(写真左)。

(写真左)背鰭は10棘22軟条。実はこの時点で『検索』的にはコロダイであることが確定したが、念のため他の形質も確認。(写真右)胸鰭の軟条数は17。

(写真左)胸鰭は1棘5軟条。(写真右)臀鰭は3棘7条。以上の全ての形質はコロダイの特徴と矛盾しない。故に今回の魚は予想通りコロダイであると判断した。

愛知県一色漁港にある「三河一色さかな村」で、他の魚と一緒に「トレイ一盛り数百円」で購入したもの。今回は刺身と干物にしたが、しっとりした素晴らしい身質で、小型サイズでも旨味が多いため、刺身、干物ともかなり美味。以前食べた成魚の刺身もかなり美味かった記憶がある。