新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

207: クルマダイ

スズキ目スズキ亜目キントキダイ科クルマダイ属
学名:Pristigenys niphonia (Cuvier)
英名:Japanese big-eye [原], Oval big-eye, White-striped big-eye, Whiteband bigeye

三河湾一色産の体長約22cmの個体から摘出した左右の「魚のサカナ」。前のエントリーで紹介した同じ科のチカメキントキのものと比べると、全体的に横に長く、バランスが取れた美しい形になっている。また肩甲骨が比較的大きめで、その前端は垂直方向に直線的、また烏口骨の下部のカーテン様部分が深く湾入し、『嘴』部も直線的に長く伸びているなどの点でも異なっている。ちなみに擬鎖骨と肩甲骨の結合部分が強固なので、「車鯛のクルマダイ」の標本を調製する時には注意を要する。写真右は、写真左の右側の標本を裏側から観察したところ。烏口骨上方の突起部の先端が棘のようになっているのが分かる。


1)体長が体高の2倍より小さい(=体高が比較的高い)、2)背鰭に欠刻あり、3)背鰭軟条数が「11」、4)体側の鱗縁辺の棘は極小であることなどの形質からクルマダイであると判断。2007年に標準和名が提唱された近縁のミナミクルマダイ(現時点では学名 Pristigenys sp.)とは背鰭/臀鰭/尾鰭の後縁が黒くならないことで区別できるとのこと。

この魚も「三河一色さかな村」で、チカメキントキなどと一緒に「一盛り数百円」のトレイに乗っていたもの。クルマダイも鱗を落とさず、そのまま3枚に下してから皮を引いて刺身に。チカメキントキ以上の旨味があり、身質も非常に良い。同じ日に購入した多種の魚の刺身とともに盛り合わせて供したが、連れ合いや両親にも「クルマダイが一番美味いよ」と大好評。クセや臭みのようなものは全く感じなかった。非常に美味い。