新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

217: サメガレイ

カレイ目カレイ亜目カレイ上科カレイ科オヒョウ亜科サメガレイ属
学名:Clidoderma asperrimum (Temminck and Schlegel)
英名:Roughscale sole [原], Roughscale flounder

地方名ほんだがれい(本田ガレイ)など。岩手県産の全長約35cmの個体から摘出した「魚のサカナ」の標本。上が有眼側、下が無眼側。「鮫鰈のサメガレイ」は、無眼側と有眼側のサイズがあまり変わらないこと、烏口骨の『嘴』部が細長いこと、烏口骨の本体後方(『嘴』部の付け根)が大きく湾入し全体的に『おたまじゃくし』を彷彿させる形であることなど、同じオヒョウ亜科に属するアブラガレイのものに最も良く似ているが、烏口骨の『嘴』部が細長く伸びるため、左右方向に長く見える。またこの『嘴』部の、特に先端近くは薄く脆弱。無眼側の肩甲骨(この写真の方向からでは肩甲骨孔が見えない)はきれいな三角形にはならず、丸みを帯びる。

有眼側(左)および無眼側(右)の標本を反対側から観察。上の写真では見えなかった無眼側の肩甲骨孔であるが、こちら側からならば確認可能(写真右の赤丸)。このように見にくいのは、肩甲骨孔が垂直方向でなく、少々斜め方向に骨の中を貫通しているため。

「魚のサカナ」を取り出した個体の有眼側(表/写真左)と無眼側(裏/写真右)。サメガレイの無眼側表面は暗紫色。

「日本産魚類検索」によれば、サメガレイの同定は容易で 1)眼が体の右側にある(写真左)こと、2)有眼側にイボ状突起が密に分布する(写真右/まさに「サメ肌」)ことが見分けられればサメガレイと確定する。念のため背鰭/臀鰭/尾鰭の両面に黒色帯がない(=ヌマガレイではない)ことも確認しておけば完璧。サメガレイの体表は多量の粘液でベトベトしている(写真左で確認できる)が、これを包丁などでこそげ落とすのは、固いイボ状突起のせいでかなり難しい。

【写真左】無眼側の体表は平滑。表皮は緩みやすく、表面には細い線が密に存在(特に背側)。【写真右】サメガレイの歯は短い犬歯状。有眼側から見ると口は小さいが、無眼側からはそこそこの大きさに見える。

八王子綜合卸売協同組合のマル幸水産で購入。トロ箱の中にサメガレイ(表示は本田カレイ)とヌマガレイ(表示は川ガレイ)が『相盛り』されていたもの(当日はキロ600円)。有眼側は5枚下しの要領でフィレに。イボ状突起のせいで皮を引くのも結構大変だったが、市販のハーブミックスを振ってポワレに。美味。無眼側は骨付きのまま煮付けに。旨味もなかなかあって美味。縁側が大きく、皮目のトロッとした食感も良い。最近「カレイは飽きた」宣言をした連れ合いも、サメガレイの煮付けだけは「まずまずアタリかも」だそうな。見た目が良くないことが災いして(?)安価だが、個人的にはコストパフォーマンスが高い魚だと思う。