新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

225: ハマダイ

スズキ目スズキ亜目フエダイ科ハマダイ亜科ハマダイ属
学名:Etelis coruscans Valenciennes
英名:Ruby snapper [原], Deepwater longtail red snapper, Flame snapper, Jobfish, Large-eyed job-fish, Yellowstripe snapper

地方名おなが(関東)、赤まち/アカマチ(沖縄)など。沖縄産の全長約50cm(体長約35cm)の個体から摘出した左右の標本。三角形の肩甲骨や突出した烏口骨本体の下部後縁などの特徴は、やはりフエダイ科の「魚のサカナ」に共通したもの。「浜鯛のハマダイ」は、その中でも特に全体のバランスが良く、かなり美しい形に見える。また肩甲骨孔は大きめで、烏口骨下部の湾入も深い。烏口骨の上部突起(『背鰭』)の先端部は丸くなっている。固定のために一週間ほど消毒用エタノールに浸けておいたのだが、それでも少々黄変してしまったのが残念。

上から見ると「浜鯛のハマダイ」の烏口骨の『背鰭』に当たる部分が大きく波打っていることが分かる。このような「うねり」はハマダイ科の「魚のサカナ」だけでなく、シロダイやイソフエフキなどフエフキダイ科の「魚のサカナ」などにも見られるもの。



写真からも分かるように非常に美しい魚体で、鮮魚店の店頭でも非常に目立つ存在。念のため、1)背鰭に深い欠刻があり、その基部は鱗に覆われない(写真中段右)、2)主上顎骨に鱗があり、その後端は眼の中央下より前方(写真中段左)、3)胸鰭長は腹鰭長より長い(写真下段左)、4)腹鰭は淡色、5)臀鰭軟条数は「8」、6)尾鰭先端下葉は黒っぽい、7)第1鰓弓上枝の鰓耙数は「8」(少なくとも4以下でも11以上でもない/写真下段右)、8)鋤骨の歯帯は幅が広いという形質を確認し、ハマダイであると判断。

糸満おさかなセンター内の新興物産で購入(2100円)。関東の市場にも小笠原や伊豆七島産のものが入荷するが、キロあたりウン千円を下るとは思われない高級魚の一つ。沖縄でもスジアラ(アカジンミーバイ)、シロクラベラ(マクブ)と共に『沖縄の三大高級魚』とされているもの。今回の魚は眼や鰓の色からも分かるように非常に新鮮な魚だったので、半身ずつ刺身と昆布締めに。刺身は旨味も多く非常に甘みを感じる。多少柔らかめな印象だったが身質もしっとりとキメが細かいもので非常に美味。昆布締めにすると程良く身が締まる上に旨味と塩味が程良く加わり、正に至福の味。

ここからしばらくは、出張で訪れた沖縄で、仕事の合間を見計らって仕入れてきた20種類強の魚達(含釣りもの)の「魚のサカナ」を紹介する予定です。お楽しみに。