新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

226: シロクラベラ

スズキ目ベラ亜目ベラ科タキベラ亜科イラ属
学名:Choerodon shoenleinii (Valenciennes)
英名:Blackspot tuskfish [原], Blue tuskfish, Green wrasse, Purple grouper, Rainbow fish, Yellow-bellied tusk-fish

日本では沖縄特産の魚(とされるが奄美大島などでも釣れる模様)で、沖縄名はマクブ。全長約35cmの活け〆雌個体(抱卵していた)から摘出した左右の「魚のサカナ」の標本。本図鑑で紹介したベラ科の魚種はまだ少ないのだが、どうやらベラ科の「魚のサカナ」の形は非常にバリエーションに富んでいるようで、実際これまで紹介してきた中で一つとして同じような形がない。今回の「白鞍倍良のシロクラベラ」も、肩甲骨の先端(『鼻先』)が抉れるように細長く伸びる、烏口骨本体の後縁下部が尖るなどのというベラ科の「魚のサカナ」としては独特の特徴がある。またベラ科のものにしては骨化の程度が高いようで、「魚のサカナ」の色もかなり白いことが写真からも分かるはず。肩甲骨孔の大きさは普通。

 

写真上の左側の標本を両側からみたところ。『額』に当たる部分に非常に大きく頑丈な突起がある。烏口骨の形は案外普通。これだけを見れば、もしスズキ目スズキ亜目の「魚のサカナ」であると言われても簡単にだまされてしまうかも知れない。



「日本産魚類検索 第2版」の同定の『鍵』を辿り、1)側線が分断しない(写真中段右の赤線)、2)背鰭棘数が「13」、3)両顎前部に門歯状歯がない(写真下段左/歯が青い)、4)胸鰭下部軟条は伸長しない(写真下段右)、5)体側に顕著な横帯がない、6)背鰭軟条数が「7」、7)上唇は外からは見にくい、8)眼の後縁から背鰭基部までの長さよりも、眼の前縁から口までの長さ(眼下骨幅)の方が短い(写真中段左)、9)体側に黒色斜帯も白色鞍状斑もない、10)体色上半部全体が一様に暗色、11)背鰭中央基部に1黒色斑がある(写真中段右の赤丸)ことからシロクラベラと判断。ちなみにシロクラベラも雌性先熟の性転換を行うとのこと。

糸満お魚センター内・ANMARで購入(2,300円)。シロクラベラはスジアラ(アカジンミーバイ)、ハマダイ(アカマチ)と共に『沖縄の三大高級魚』とされているそうで、ネット検索したところによると最近では養殖も試みられている模様。今回は刺身とマース煮に。刺身はしっとりと身質も良く、本当に上品な旨味・甘味がある。美味。あくまで個人的な好みだが、ワサビ醤油よりも沖縄の塩を極少量だけ付けて食べる方が美味いと思った次第(=醤油の風味が強すぎるくらい)。マース煮は風味/旨味とも増し非常に美味。