新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

238: スミツキカノコ

キンメダイ目イットウダイ科イットウダイ亜科イットウダイ属
学名:Sargocentron melanospilos (Bleeker)
英名:Horned squirrelfish [原], Blackblotch squirrelfish, Blackspot squirrelfish, Three-spot squirrelfish

沖縄名アカイユー。沖縄県産の体長約22cmの個体から摘出した左右の「魚のサカナ」。「墨付鹿子(?)のスミツキカノコ」は、これまでに紹介した同じキンメダイ目のキンメダイフウセンキンメのものにはほとんど似ておらず、横方向に圧縮されたような肩甲骨(筆者の頭の中には縄文時代の磨製石斧の形が浮かんだ)、角が削れたようになる後縁下部(擬鎖骨から「魚のサカナ」を外す時に生じた可能性もあり)、先端が鋭角にならない烏口骨の『背鰭』部分、がっちりと太めの烏口骨の『嘴』部分など、各パーツの特徴で見れば少々地味ながら、これらを組み合わせた全体の形はなかなか個性的。写真右は、写真左の左側の標本を反対側から観察。烏口骨の『背鰭』部分先端部が太く丸みを帯び、前縁に極小さな凹みがある(ただしこの凹みは反対側の標本には見られなかった)。肩甲骨孔は大きめ。



1)前鰓蓋骨の下方後縁に大きな棘がある(写真中段左の青矢印)、2)臀鰭は4棘9軟条、3)背鰭は11棘13軟条で、第11棘は第10棘と第1軟条のほぼ中間の位置にある(写真中段右の緑線に注目)、4)側線上方横列鱗数は2.5(写真中段右/淡青線が側線の位置)、5)後鼻孔の縁辺に1本の棘がある(写真下段左の青丸)、6)涙骨上縁は平滑、7)上顎先端は下顎より突出(写真中段左)、8)背鰭/臀鰭の軟条部基底付近と尾柄部に黒斑があるなどの形質を確認して、スミツキカノコであると判断。上の写真からも分かる様に非常に美しい魚である。

泊いゆまち内・かねは水産で購入した「トレイ1盛り1,000円シリーズ」は5種類目のこの魚にて打ち止め(全6種盛りの内、残りの1種は既に紹介済みのニセクロホシフエダイ)。実は筆者がイットウダイ科の魚を手にしたのは初だったが、ネット上の情報で見ていた「イットウダイ科の魚は鱗が硬すぎて下ろすのが大変」を身をもって体験した次第。実際この魚の鱗の硬さは尋常でなく、柳刃包丁で鋤引きするのも、出刃包丁ではぎ取ることもかなり困難、、、仕方がないので、最終的には尾の方から数枚ずつ手で剥がして行ったが、鱗の後縁部がまるで肉切りナイフの様にギザギザになっている(写真下段右)ために、鱗を剥がし終わった時には手の皮膚の一部が切れてボロボロになっていた。それはさておき、今回は刺身に。身は少々柔らかいものの、含有されている旨味成分は多い。個人的には「苦労」に見合う美味であったと思う。