新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

239: カンモンハタ

スズキ目スズキ亜目ハタ科ハタ亜科ハタ族マハタ
学名:Epinephelus merra Bloch
英名:Honeycomb rockcod [原], Birdwire rockcod, Black-spotted rock-cod, Dwarf spotted rockcod, Dwarf spotted grouper, Honeycomb grouper, Wire-netted reefcod

沖縄名イシミーバイ、ウルミーバイ、ヒシミーバイ。沖縄産の体長約21cmの抱卵した雌個体から摘出した左右の「魚のサカナ」。射出骨付き。写真右は、写真左の右側の標本の射出骨を外してから撮影したもの。「関門羽太のカンモンハタ」の形は、他のマハタ属の「魚のサカナ」の中でも、同じような小型種であるアカハタのものに酷似するが、1)肩甲骨前縁がより直線的で、肩甲骨/烏口骨(『嘴』部分を除く)全体ではほぼ四辺形に見えること、2)烏口骨下部の湾入部分がアカハタのものほど丸みを帯びず、どちらかと言えば三角形に近いこと、3)烏口骨の『嘴』の三角形の部分が先端まで伸びないこと、4)肩甲骨孔がより細めであることなどで(少なくとも今回の標本に関しては)区別出来る。

「関門羽太のカンモンハタ」では、マハタ属の「魚のサカナ」の特徴の一つである『背鰭』部分の湾曲が大きい。



マハタ属の魚ということで注意しながら『同定の鍵』を辿り、1)背鰭棘条数「11」、2)臀鰭軟条数が「8」、3)背鰭棘上部が前方で少し高くなる、4)尾鰭後縁は丸い(写真中段右)、5)体側鱗の中央に暗色域がない、6)体に暗色横帯は認められない、7)体側の斑点は眼径とほぼ同じ大きさで、網目模様を形成する(以上写真下段左)、8)胸鰭全体に暗色斑点が存在し網目模様を形成する(写真中段左)、9)各鰭の斑点は体側のものと同色・同大、10)腹部に斑点あり(写真下段右)、11)背部に淡色域がない、12)尾柄背部に黒斑がない、13)体側中央部の斑点は瞳孔より大きく、いくつかは互いに連続する(写真下段左)、14)背鰭基底に大きな黒斑がないなどの形質からカンモンハタであると判断した。

泊いゆまち内の大国海産で購入(当日は100g180円)。今回は味噌汁に。多少感じる磯の香りにもしかしたら好き嫌いが分かれるかも知れないと思ったが、ホロホロと口の中で崩れて行く身の食感も良く、旨味も多く含まれておりかなりの美味。ちなみにカンモンハタは、成長してもせいぜい25cm程度の小型種である。


【おまけ】同時に入手したほぼ同サイズの別個体の胃の中には、体色から判断して、ヘリゴイシウツボの若魚と思われる小型のウツボ類(カンモンハタとほぼ同じサイズ)が半分消化された状態で入っていた。残念ながらウツボ類には「魚のサカナ」がないので、この図鑑に「貢献」はしてくれなかったのだが、、、


注:WEB魚図鑑では学名をそのまま読んだ「エピネフェルス属」となっているが、どうやらマハタマハタモドキを「ヒポルソドゥス属」という別の属に分離したために(FishBaseでもマハタの学名は Hyporthodus septemfasciatus (Thunberg)になっており、Epinephelus septemfasciatus はシノニム扱い)、「マハタ属」ではおかしくなってしまったということらしい。