新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

281: オオモンハタ

スズキ目スズキ亜目ハタ科ハタ亜科ハタ族マハタ
学名:Epinephelus areolatus (Forsskål)
英名:Areolated reefcod [原], Areolate grouper, Areolated rockcod, Green-spotted rock cod, Flat-tail cod, Squaretail grouper, Squaretail rockcod, Yellow-spotted rockcod

熊本産の全長約35cmの個体から摘出した左右の標本。射出骨付き。写真右は、写真左の右側の標本から射出骨を外してから拡大して観察したもの。「大紋羽太のオオモンハタ」の全体的な形の特徴は、これまでに紹介してきたマハタ属の「魚のサカナ」と共通している(=パッと見で同属の「魚のサカナ」であると推察できる)と言えるが、肩甲骨前縁が波打つこと、烏口骨の上縁が『背鰭』部の手前で緩やかに降下することなど、それらの中でもアオハタのものに最も良く似ているような印象。ただし烏口骨の『背鰭』部から『嘴』部先端に向かうラインの上縁の途中が少なからず張り出すのは独特である。

マハタ属の「魚のサカナ」の特徴の一つである『背鰭』部の大きな湾曲は「大紋羽太のオオモンハタ」でも見られるもの。



何時もの様に「日本産魚類検索」を開き、1)背鰭は11棘16軟条(写真中段右)、2)臀鰭は3棘8軟条(写真下段左)、3)背鰭棘条部は前方で少し高くなる(写真中段右)、4)側線鱗管に放射状小管がない、5)尾鰭後縁は截形(写真下段右)、6)背鰭第2棘は伸びない(写真中段右)、7)体の暗色斑は大きく網目模様を形成する(写真中段右)、8)尾鰭後縁は白く縁取られる(写真下段右/体色が良く似たホウセキハタはここが白くならない)、9)体側の斑点は瞳孔より大きい(写真中段左)などの形質を確認し、オオモンハタであると判断。ちなみにオオモンハタは、あまり大きくならない小型のハタの仲間である。

角上魚類日野店で購入(当日は1,100円/匹)。店頭表示は「紋ハタ」。3枚に下ろした身は刺身に。キメが細かく、透明感のある素晴らしい身質。活け〆ではなかったが、タイミングが良かったのか、固すぎず柔らかすぎずで丁度良い食感。嫌みのない上品な風味があり、わさび醤油では強すぎるほど(よってポン酢を軽く付けた方が個人的には好み)。旨味も多く含まれており、また甘味も感じる。非常に美味い。「あら」は潮汁に。熱を通したためか、旨味と甘味を刺身より強く感じる。実際出汁を十分煮出したと思った身の中にまだまだ旨味がたっぷり残っていて驚いたほど。絶品。

注:WEB魚図鑑では学名をそのまま読んだ「エピネフェルス属」となっているが、どうやらマハタマハタモドキを「ヒポルソドゥス属」という別の属に分離した故ではないかと推測。