新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

280: アカササノハベラ

スズキ目ベラ亜目ベラ科カンムリベラ亜科ササノハベラ属
学名:Pseudolabrus eoethinus (Richardson)
英名:Bambooleaf wrasse [原; ただしホシササノハベラと共通]

伊東漁港の釣りもので、全長10.5cmの抱卵した雌個体から摘出した左右の「魚のサカナ」。「赤笹葉倍良のアカササノハベラ」の形は、極近縁種で、以前は「ササノハベラ」として一緒にまとめられていたホシササノハベラのものに予想通り良く似ているが、1)肩甲骨先端下部があまり突出しない、2)烏口骨上方の突起部先端が上方に曲がらず、より前方を向く、3)烏口骨本体の後下縁があまり突出せず、楕円形に湾入する、4)烏口骨の『嘴』部の上縁/下縁がよりきれいな曲線を描くなど、細かい相違点を幾つか挙げることが出来る。写真右は、写真左の右側の標本の拡大。烏口骨の『背鰭』部分に小孔が一つ開いている。

上とは反対側の標本。この標本では烏口骨の『背鰭』部分に小孔が開いていない。つまりこの部分の孔は、基本的にはアカササノハベラの生命活動に重要ではないと推察できる。



「日本産魚類検索 第2版」の「同定の鍵」を辿り、1)側線は体側後部で中断しない(写真中段右/体躯背部と尾柄部の側線が繋がっている)、2)背鰭は9棘11軟条、3)上顎前部に著しく前方へ向かう門歯状歯がない(写真中段左)、4)側線は体側後部で急に下降する(写真中段右の青矢印)、5)体長は体高の6倍未満、6)吻は著しく突出しない、7)両唇は肥厚しない、8)下顎に切れ込みがない、9)口は短い筒状でない、10)側線有孔鱗数は25、11)前鰓蓋骨後縁は円滑、12)背鰭第1・2棘の鰭膜は伸長しない、13)頬部に数列の鱗がある(写真下段左の黄丸)、14)側線中央部の有孔鱗の側線管は分枝する、15)側線上方横列鱗数は3、16)頭部最下部の暗色縦線は胸鰭基部に達する(写真下段左の緑矢印)、17)側線よりも背部に明瞭な白色斑がない(写真下段右)などの形質からアカササノハベラであると判断した。

職場の関係者が釣り上げ、標本用に提供してもらったもの。今回は食していない。

(12/14/11 写真の変更および改稿)