新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

285: シロカサゴ

スズキ目カサゴ亜目フサカサゴ科シロカサゴ亜科シロカサゴ
学名:Setarches guentheri Johnson
英名:Fiji smooth scorpionfish [原], Channeled rockfish, Deepsea scorpionfish, Deepwater Scorpionfish

愛知県形原漁港産の全長23cmの個体から摘出した左右の「魚のサカナ」。射出骨付き。「白笠子のシロカサゴ」は、フサカサゴ科の「魚のサカナ」としては独特の形状。フサカサゴ科のものの基本形を前後方向に圧縮したような印象で、そのためか比較的『体高』が高く見える。また烏口骨の『背鰭』部分が上方により高く突き出しており、第4射出骨との間の湾入部はさほど大きくない。写真からは分かりにくいと思うが、骨自体もあまり厚くなく、また所々がうねったようになっている。



何時もの様に「日本産魚類検索」の同定の鍵を辿り、1)側線は溝状で薄い円鱗に被われる(写真中段左)、2)臀鰭は3棘5軟条(写真中段右)、3)体は赤い、4)主上顎骨中央部に隆起線がない(写真下段左)、5)体はやや側扁する、6)前鰓蓋骨第2棘(写真下左の緑矢印。この写真では第5棘は見えていないので、写真下右の標本にしたものを参照)は良く発達するという形質を確認してシロカサゴであると判断したもの。極近縁のアカカサゴとは、形質6(アカカサゴの前鰓蓋骨第2棘は著しく小さい、もしくはない)で区別することができるが、写真からも分かるようにシロカサゴの体色も真っ赤であるために非常に紛らわしい(実際に市場などではほとんど区別されていないとのこと)。また『新訂原色魚類大圖鑑』をはじめとして、背鰭棘に「刺毒」があるとしている資料やネット上の情報も多いが、実際に毒を持つかどうかはまだ良く分かっていないのだとか。とはいえ、イズカサゴと同様に背鰭棘が非常に長く鋭いため、刺されないように注意することに越したことはないと思われる。ちなみにシロカサゴの肛門より前側の腹部正中線上には黒線がある(写真下段右)。

愛知県岡崎市にある「ふれあいドーム」内のプロ・スパーの直営産直コーナーで購入。店頭表示は「かさご」(当日は2匹で398円)。今回は定番と思われる煮付けに。熱を通すと直前のエントリーで紹介したホウズキのように身がブリブリになる。シロカサゴの身の旨味はそこそこ程度であると思われるが、煮汁と合わせるとかなり美味い。

【追加情報】リンク先によれば、シロカサゴはフサカサゴ科の中で最も広く分布する種であるとのこと。