65: クロメジナ
スズキ目スズキ亜目メジナ科注メジナ属
学名:Girella leonina (Richardson)
英名:Smallscale Blackfish [原]
別名沖メジナ。釣り人が言うところの「尾長グレ」。伊豆七島の式根島で釣り上げられた個体から摘出。メジナのものより「頭」の部分が少々コンパクトで、「目」の位置が少し下の方にある。そのためか、全体的にメジナのものより横により細長い印象を受ける。烏口骨上部張り出しの先端もより鋭角的。
同時に入手した別の個体からも「魚のサカナ」を摘出したが、たまたま左側のものが『奇形』だったので一応紹介。肩甲骨先端下方(写真の左下側)の発達に異常をきたしており、肩甲骨孔(「目」の部分)の下部が繋がっていない。ただし魚体の外見上は全く問題なかったはず。
クロメジナの鰓蓋(さいがい/えらぶた)後端部には黒の縁取りがあり、メジナとの区別は比較的容易。また尾鰭の切り込みがメジナよりも深く入るため尾が長く見える。故に「尾長グレ」。
一般にメジナよりもクロメジナの方が魚体が大きくなるはずだが、英名ではメジナが「Largescale」、クロメジナが「Smallscale」と逆になっているのがちょっと可笑しい(とは言え、"scale"は恐らく、「体長が大きい」という意味のスケールではなく、「鱗」という意味のスケールであると思われるが)。
季節/個体によっては磯臭いものもあるが、基本的には非常に美味。旨味たっぷりで肉質も良く、刺身/塩焼き/魚しゃぶ/マース煮/カルパッチョ/唐揚げの甘酢あん掛けなど、和洋中どんな料理にもあうユーティリティープレイヤー。個人的な印象では近縁のメジナよりも美味い。
6/17/10改稿。
注:メジナ/クロメジナは、2000年発行の「日本産魚類検索」(中坊編)や2007年発行の「釣り人のための遊遊さかな大図鑑」(中坊監修/小西編著)では「メジナ科」とされているが、2005年発行の「新訂原色魚類大圖鑑」(多紀ら編)では「イスズミ科」にまとめられている。