新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

164: クロマグロ

スズキ目サバ亜目サバ科サバ亜科マグロ族マグロ属
学名:Thunnus orientalis (Temminck and Schlegel)
英名:Northern bluefin tuna [原], Pacific bluefin tuna

いわゆる「本マグロ」。関東で【メジ】、関西で【ヨコワ】と呼ばれる若魚のカマ(知り合いの魚屋さんに「サービス」してもらったもの)から摘出。写真左は擬鎖骨に結合した状態(射出骨は除去済)で撮影したもので、写真右は更に擬鎖骨から外したものを反対側から観察したもの。これまで摘出してきたマグロ属(ビンナガキハダ)の「魚のサカナ」の形に酷似しているが、「黒鮪のクロマグロ」では烏口骨下部と『嘴』部の境目が他のものよりも丸く深く切れ込んでいるような印象。

胸鰭が他のマグロ類と比べて非常に短いのはクロマグロの特徴の一つ。

改めて書くまでもないが、天然&大型&生のものは超の上に超が果てしなく付く超高級魚。ただし体長数十センチ程度の小型サイズのものならば比較的安価で入手できる。もちろんキロ当たりウン万円などという値段がつくような極上のものと比較するのもおこがましいが、小型のものでもさっぱり目の味わいの中に十分な旨味があって美味い。


注:「日本産魚類検索 全種の同定 第2版」や「新訂原色魚類大圖鑑」ではクロマグロの学名として Thunnus thynnus (Linnaeus) が掲載されているが、2007年にクロマグロの学名変更とマグロ属2種の標準和名決定がなされ(ここの2007.11.26のエントリー参照)、クロマグロの学名が Thunnus orientalis (Temminck and Schlegel) となり、大西洋/地中海で漁獲され、ワシントン条約で国際取引が禁止されそうになった記憶も新しい Thunnus thynnus (Linnaeus) の標準和名がタイセイヨウクロマグロとなった。つまりこれまで大西洋/地中海に生息する Thunnus thynnus (Linnaeus) と同種、あるいはその亜種(この場合の学名は Thunnus thynnus orientalis (Temminck and Schlegel) となるが、FishBase では現状シノニム扱い)とされてきた太平洋産のクロマグロを「別種」として分離した形になる。ただし FishBase では、Common name: Kuromaguro(クロマグロ)はまだ Thunnus thynnus (Atlantic bluefin tuna) のエントリーの方にリンクされており(2010年10月現在)、Thunnus orientalis(Pacific bluefin tuna)のエントリーの "Common names" 欄には「クロマグロ」はおろか「和名」がゼロである。下衆の勘ぐり以外の何物でもないが、何か政治的なものが働いていないことを祈るばかり、、、