新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

170: ニセクロホシフエダイ

スズキ目スズキ亜目フエダイフエダイ亜科フエダイ
学名:Lutjanus fulviflamma (Forsskål)
学名:Dory snapper [原], Blackspot seaperch, Blackspot snapper, Finger-mark bream, Humpback red snapper, Longspot snapper

沖縄ではヤマトビー。体長約30cmの個体(沖縄産)から摘出した標本。写真左の右側の標本は烏口骨の『嘴』部分の先端が少し折れている。これまでに摘出した同じフエダイ科のアオダイヒメダイのものと比べると、肩甲骨が前後方向に短めで、その先端部はあまり細くならない。肩甲骨孔もより丸に近い。烏口骨上方の突起(『背鰭』に相当)の先端は尖らずに丸みを帯びる。また烏口骨下部と『嘴』をつなぐカーテン様の部分はあまり大きく広がらないため、少々深めに切れ込む。写真右は写真左の左側の標本を反対側から観察したもの。「魚のサカナ」全体のバランスも良く、何となく可愛らしい印象を与える一品。またこちら側からでは、肩甲骨先端の印象が少々変わって見える。

烏口骨の背鰭部分を拡大。大小様々な孔が存在していることが分かる。


今回の魚は、1)背鰭基部が鱗に覆われる(写真下段左)、2)鋤骨に歯帯あり、3)第1鰓弓上枝の鰓耙数は20以下、4)目の中心が体軸より上方にある、5)背鰭軟条数が「13」(写真下段左)、6)青白色の縦帯なし、7)側線より上方の鱗が斜め上後方へ向かう(写真下段右/1鱗列の上下を青線で示した)、8)鋤骨歯帯中央部が後方に突出する、9)体側後方の大斑点が側線上にある(写真上段右)、更に10)側線より下に5本以上の黄色の縦帯が存在する(写真上段右/『遊遊さかな大図鑑』の記述より)という形質からニセクロホシフエダイであると判断した。

「おまかせ沖縄鮮魚セット」シリーズはこれにて打ち止め。身質はキメが細かく歯ごたえがあり、旨味もかなり多いため、刺身にして非常に美味。マース煮にすると身はブリブリになるが、噛むたびに旨味が溢れ出てきてこちらも美味い。ただし「シガテラ毒魚」としている文献もあるようなので、注意するに越したことはないと思われる。