新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

171: クロホシフエダイ

スズキ目スズキ亜目フエダイフエダイ亜科フエダイ
学名:Lutjanus russellii (Bleeker)
学名:Russell's snapper [原], Fingermark bream, Moses perch, Moses seaperch, Russell's sea-perch, Red bream

地方名モンツキ、ドウマルイセキ(高知)、カワサキ(尾鷲)。大分産の体長約30cmの個体から摘出。全体的な形は当然のようにニセクロホシフエダイのものと酷似。ただし、1)烏口骨の本体下部があまり膨らまずきれいな曲線を描くこと、2)烏口骨下部と『嘴』をつなぐカーテン様の部分が少々広く、その部分の切れ込みが浅いことなどが相違点として挙げられる。また「偽黒星笛鯛のニセクロホシフエダイ」とは異なり、「黒星笛鯛のクロホシフエダイ」(すみません、書きたかっただけです)の烏口骨の『背鰭』部分に小孔は存在しない。写真右は右側の標本を拡大したもの。


1)背鰭基部が鱗に覆われる(写真下段左)、2)鋤骨に歯帯あり、3)第1鰓弓上枝の鰓耙数は20以下、4)目の中心が体軸より上方にある(写真上)、5)青白色の縦帯なし、6)側線より上方の鱗が斜め上後方へ向かう(写真下段左)、7)鋤骨歯帯中央部が後方に突出する、8)体側後方の大斑点が側線上にある(写真上段左)などの形質は、前回紹介したニセクロホシフエダイと共通しているが、今回の魚は背鰭軟条数が「14」(写真下段左)であり、側線より下に黄色の縦帯が存在しないことからクロホシフエダイであると判断した。また「日本産魚類検索」で、クロホシフエダイニセクロホシフエダイを区別するもう一つの鍵として挙げられている「側頭部の鱗列」というのは、写真下段右の青矢印で示した少々大きめの鱗の列を意味していると思われる(この魚では確かに1〜2列である)。

八王子総合卸売センター内、高野水産で購入(当日はキロ1300円/店頭では「フエフキ」と表示されていた)。刺身は歯ごたえも良く、旨味も多く美味。ただしニセクロホシフエダイの方がより美味だったような印象はある(同じ日に食べ比べた訳ではないので確信ではない)。アラは潮汁に。素晴らしい出汁が出て美味。また刺身と柚子胡椒(お好みで)をご飯の上に乗せ、軽く醤油を垂らし、潮汁の熱い汁だけを掛けた「まご茶」風にしたものは、飲み会の〆に最高の一品。


注:『ニセクロホシフエダイ』といっても別に「偽物」という意味ではなく、人間様が「クロホシフエダイに良く似た魚」を区別するためだけに付けられた名前ですので念のため。例え『ニセ』の方が美味くても何の問題もありませぬ。