新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

283: ウメイロ

スズキ目スズキ亜目フエダイ科アメフエダイ亜科アオダイ属
学名:Paracaesio xanthura (Bleeker)
英名:Yellowback fusilier [原], Yellowtail blue snapper, Yellowtail fusilier, Gold-backed fusilier, False fusilier, Pedley's fusilier

地方名/流通名ベンタ(尾鷲地方)、沖タカベ(関東地方)。鹿児島産の全長約35cmの個体から摘出した左右の標本。「梅色のウメイロ」は、肩甲骨の前端下部が尖り気味で、烏口骨本体下部後縁が突出し、「魚のサカナ」全体が比較的横長であることなど、これまでに紹介してきた他のフエダイ科の「魚のサカナ」でも見られた様々な特徴(ただし全てのフエダイ科のものが共有している訳ではないので念のため)を混合したような全体像。その中でも、肩甲骨孔が大きく丸いのはハマダイのものに、また烏口骨上方の突起(『背鰭』)部分の先端が平たく、尖らないのはハナフエダイのものに続いてそれぞれ2例目。写真右は、写真左左側の標本を反対側から撮影したもの。烏口骨の『嘴』部下縁の「ひだ」は先端近くまで存在している。

烏口骨の『背鰭』に当たる部分の大きな「うねり」はウメイロのものでも観察できる。



「日本産魚類検索」の同定の鍵を辿り、1)背鰭起部は鱗に被われない(写真中段右)、2)背鰭に欠刻がない、3)眼前部に顕著な溝がない(写真中段左)、4)吻長は胸鰭長より短い、5)鋤骨に歯帯がない、6)主上顎骨後縁は眼の中央下より前方(写真中段左)、7)唇は肥厚しない(写真中段左)、8)下顎は上顎より前に出る(写真中段左)、9)背鰭・臀鰭最後軟条は伸長しない(写真中段右)、10)鰓蓋後縁直後域に多数の鱗がある(写真下段左)、11)両眼間隔域は隆起する、12)背鰭は10棘10軟条(写真中段右)、13)尾鰭は深く2叉し中央後縁は切れ込む(写真下段右)、14)側線有孔鱗数は70、15)体の地色は淡紫青色で体側上半部は幅広く黄色い、16)尾鰭は全体的に黄色(写真下段右)、17)尾鰭の長さは普通、体長は尾鰭上葉長の約2.8倍などの形質からウメイロであると判断。体色の良く似たタカベ(タカベ科)やウメイロモドキ(タカサゴ科)と見分ける時の注意点に関しては「タカベ」のエントリーを参照されたい。

角上魚類日野店で購入(800円/匹)。今回は片身を刺身に、片身をポワレに。下ろす前は少々磯の香りを感じた。刺身にすると半透明で見た目もきれい。旨味は多く、甘味も少なからず感じる。この魚の特徴なのか、はたまた長旅をしてきたせいなのか、身が少々軟らかい気はしたものの、実際かなりの美味。ポワレにすると、口の中で細かい繊維質のみがホロホロ崩れて行く感じ。皮の近くを中心に旨味もある。美味。