新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

241: クマササハナムロ

スズキ目スズキ亜目タカサゴ科クマザサハナムロ属(タカサゴ属)
学名:Pterocaesio tile (Cuvier)
英名:Bartail fusilier, Blue-dash fusilier, Bluestreak fusilier, Dark-banded fusilier, Neon fusilier

別名クマザサハナムロ。手持ちの資料によると、沖縄名グルクン、ウクーグルクン、ウクーク。ただし沖縄の鮮魚店ではタカサゴやニセタカサゴと区別されずに「ぐるくん」と表示されていることがほとんどであると思われる。沖縄産の体長約22cmの個体から摘出した左右の「サカナのサカナ」。「熊笹花鰘(「むろ」は魚偏に室)のクマササハナムロ」は、予想通り近縁のタカサゴニセタカサゴのものにそっくりだが、烏口骨下部があまりギザギザにならないことなど、どちらかと言えばタカサゴのものの方により似ているような印象。ただし、1)肩甲骨の先端下部がより三角形に近いこと、2)肩甲骨孔がかなり大きいこと、3)烏口骨の『背鰭』に相当する部分から『嘴』部分の先端方向にかけてのラインが多少直線的であること、4)烏口骨のキール部分の先端がタカサゴのものほど下方に向かないこと、5)全体的にがっしりした印象であることなどの点で異なる。



何時もの様に「日本産魚類検索」の同定の『鍵』を辿り、1)前上顎骨の後方突起は2個(写真中段左/標本にしたもの)、2)体は比較的細長い(体長は体高の3.4倍以上)、3)背鰭下部は鱗に被われる(写真中段右)、4)尾鰭両葉の中央部に暗色帯(写真下段左)、5)背鰭軟条数は「20」、6)体側の黒色縦帯は側線上を走る(写真下段右/黄矢印が側線)などの形質を確認してクマササハナムロであると判断。尾の模様が全く異なるので、タカサゴ/ニセタカサゴとの区別は容易(下の【おまけ】参照)。

泊いゆまち内の中真で購入(当日は100g200円)。店頭にクマササハナムロのみが大量に入ったトロ箱が置かれ、表示は「ぐるくん」。今回は刺身で。身は柔らかいが、やはり旨味は非常に多い。かなりの美味。この魚は以前紹介したタカサゴ/ニセタカサゴとは購入日が異なるため、直接食べ比べをした訳ではないが、控えめに言っても「同じくらい美味」であると思う。

                                                                                                • -

【おまけ】代表的な「グルクン」類の簡単な見分け方

                                                                                                • -

クマササハナムロ:本稿の下段2枚の写真参照。尾の中央部に暗色帯が走り、体側中央の黒色縦帯は側線(黄矢印)と重なる。



タカサゴ:尾の先に斑点あり、体側中央の黄色縦帯は側線(青矢印)の下側。



ニセタカサゴ:尾の先に斑点あり、体側中央の黄色縦帯は側線(青矢印)と重なる。