新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

278: メイチダイ

スズキ目スズキ亜目フエフキダイ科メイチダイ属
学名:Gymnocranius griseus (Temminck and Schlegel)
英名:Nakedhead large-eye bream [原], Grey large-eye bream, Barred large-eye bream, Gingko, Grey large-eye bream, Grey barenose, Gray emperor, Naked-headed sea bream

小田原産。全長約32cmの活け〆個体から摘出した「魚のサカナ」。「目一鯛/眼一鯛/眼市鯛のメイチダイ」は、これまでに紹介したフフキダイ科の「魚のサカナ」の中で、特にシロダイのものに酷似している。相違点を強いて挙げるとすれば、1)烏口骨上方の『背鰭』部分がより高い印象を与えること、2)烏口骨の『嘴』部の本体への結合角が急(鋭角的)なので、下部の湾入部の幅が細めな印象になることなどがあるが、例えば写真1枚だけを見て両者を区別するのはかなり難しいと思われる。

上から観察すると「目一鯛のメイチダイ」も『背鰭』部分が波打つが、これもシロダイのものと似て、「波」が比較的緩やかな印象。



「日本産検索 全種の同定 第2版」の検索の鍵を辿り、1)頬部に鱗がある(写真中段左)、2)胸鰭軟条数は14、3)背鰭は10棘10軟条、4)臀鰭は3棘10軟条(写真中段右)、5)主上顎骨に鋸歯状隆起がない(写真下段右/赤四角部分が隆起しているが「鋸歯状」には見えない)、6)下顎側部の歯は円錐状(写真下段左)、7)背鰭棘条中央部下における側線上方横列鱗数は6(写真中段右)、8)背鰭縁辺は白くない(写真中段右)、9)尾鰭両葉先端は尖る、10)尾鰭中央部の軟条長は眼径よりも長い、11)体長は体高の2.2倍程度などの形質からメイチダイと判断。

八王子総合卸売センター内、高野水産で購入(当日はキロ1,500円/0.61kg)。店頭表示は「メイチ」。上の写真中段右からも分かるように、鱗が虹色に輝く、見るからに新鮮な個体。まずは刺身に。3枚に下ろす前には多少磯臭さのようなものを感じたが、皮を引いてからは全く感じなかった。非常に透明感のある身で、たっぷり乗った脂からくる甘味と、溢れんばかりの旨味を非常に強く感じる。身が軟らかいので評価は分かれると思うが、筆者のような「コリコリよりも旨味派」には堪らない味。絶品。「あら」は塩をしてしばらく放置し、一度湯通ししてから昆布だしの潮汁に。途中で味見をしたところ、予想を遥かに超えた旨味たっぷりの出汁が取れており、味醂や酒は1滴も使わず、極少量の醤油を隠し味程度に加えただけ(もしかしたらこれも不要だったかも)で十分なほど。非常に美味い。

本稿を書くにあたり色々調べてみたところ「メイチダイの眼には臭いのある脂があるので潰さないように」という記述が散見されたが、本当にそのような臭いがあるかどうか今回は注意していなかったので分からない。ただし上記した潮汁は頭もそのまま使って作ったもの。特に変な臭いは感じなかったのだが、、、筆者の味覚/嗅覚が鈍感なだけなのだろうか?

【注】ちなみにこの形質を「ある」として先に進めると、分布も尾鰭の形も異なるコケノコギリに辿り着いてしまう。