新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

215: クログチ

スズキ目スズキ亜目ニベ科クログチ
学名:Atrobucca nibe (Jordan and Thompson)
英名:Blackmouth croaker [原], Black croaker, Longfin kob, Longmouth croaker, Longmouth jewfish

大分県産の全長約50cmの個体から摘出した左右の「魚のサカナ」の標本。「黒愚痴のクログチ」は、同じニベ科の「魚のサカナ」の中では、シログチのものよりは、やはり大型種のコイチのものに全体のシルエットが良く似ており、特に烏口骨先端が矢印のように太くなるという独特の形などは共通した特徴。逆に両者の相違点としては、肩甲骨孔の位置がコイチのものより下の方にあり、烏口骨の太めの『嘴』部分はコイチのものより細いことなどが挙げられる。また右側の標本(写真右の拡大図も)の『背鰭』部分には小孔が開いているが、左側の標本にはないので、現状では「黒愚痴のクログチ」の特徴であるとは言い切れない。

予想(期待)通り耳石は巨大。長さは最大のところで1.9cm、厚みは7mm。手のひらに乗せると実際かなりの重量感。



1)後頭部に骨質突起がない、2)臀鰭基底は短く2棘7条、3)下顎にひげがない、4)下顎の感覚管孔は2対(4個/写真中段左)、5)背鰭/臀鰭軟条部の被鱗域は非常に狭い(高さの1/3以下/写真中段右)、6)胸鰭は長く、その後端は背鰭棘条部後端を越える、7)尾鰭後縁中央部は尖る、8)口腔内や腹膜が黒く(写真下段左)、胸鰭の上半分(特に付け根)も黒くなる(写真下段右)などの形質からクログチと判断。

八王子総合卸売センター内、高野水産で購入(店頭では「にべ」。当日はキロ1000円/1.28kg)。見るからに非常に新鮮だったので、今回は刺身とポワレに。刺身は、見た目がマダイの刺身のような美しい色なので食欲をそそる。身質も良く、上品な旨味もあり美味。ポワレは身が少々柔らかくなるが、そのためにしっとりとした食感になり、旨味も立つ。こちらも美味。