新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

220: ギンダラ

スズキ目カジカ亜目ギンダラギンダラ
学名:Anoplopoma fimbria (Pallas)
英名:Sablefish [原], Black cod, Blue cod, Candlefish, Coalfish, Skil

半分に割った頭付きのカマ(カナダ産の解凍品)から摘出した体左側の「魚のサカナ」を両側から観察。エタノール固定前の射出骨付きの標本。「銀鱈のギンダラ」の特徴は非常に独特で、他のカジカ亜目のものも含め、これまでに摘出したどの標本ともあまり似ていない。全体に小孔が開いたようなスカスカな印象の骨だが、それでも各骨の中央部は骨密度が比較的高い(あるいは骨中の脂分が多い?)ために白く見える。逆に各骨の周辺部には透明の「縁取り」がある(骨の間隙の軟骨質部分とは別もの)。また烏口骨の『嘴』先端部も軟骨質。烏口骨上部の突起(『背鰭』)部の先端は尖らず、ナイフでカットでもしたかのような形になっている。

エタノール処理および乾燥後の様子(上の写真左と比較して頂きたい)。乾燥前は白く見えていた各骨の中央部もほぼ透明になってしまった。


標準和名に『ダラ』と付き、他にホクヨウムツやナミアラと呼ばれることもあるようだが、タラ科、ムツ科、更にはアラが含まれるハタ科とは遠縁で、どちらかと言えばアイナメ科に近い(と考えられている)魚。上記した通り店頭では半分に割った頭付きのカマとして売られていたものだが、ギンダラ科の魚は世界中でも2属(ギンダラ属/アブラボウズ属)のみしか生息しておらず、更に両属とも各1種(ギンダラアブラボウズ)が含まれるのみなので、この状態でも何とか同定は可能。この魚は胸鰭軟条が16本(写真下段左)であったことからギンダラと判断(アブラボウズは17本)。また『新訂原色魚類大圖鑑』に記載された 1)下顎が上顎に覆われること(写真上段右/アブラボウズは下顎の方が長い)、2)上下両顎、前鋤骨、口蓋骨に櫛状の歯帯があること(写真下段右/アブラボウズの歯帯は糸状)などもギンダラの形質と矛盾しない。ちなみに『日本産魚類検索 第2版』によれば、ギンダラ科は背鰭が2基であることから体型の良く似たアイナメ科と区別することができ、更に、細長い体型、第1および第2背鰭が良く離れること、第1背鰭が19~27棘であることからアブラボウズと区別可能であるとのこと。

魚喜日野店で購入(2個入りパックが250円)。一般的には「高級魚」で、切り身や、味噌漬けや西京漬などの加工品は百貨店やスーパーなどでも頻繁に見かけるが、頭付きのカマは記憶にある限り初遭遇。今回は煮付けに。非常に脂が乗っており、ホロホロと口の中で崩れる身やトロっとした皮の食感が良い。客観的に言えばかなりの美味、、、なのだが、個人的にはこの脂の乗りは強すぎるようにも感じてしまった(歳を取るとはこういうことなのかも)。