新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

26: キンメダイ

キンメダイ目キンメダイ科キンメダイ属
学名:Beryx splendens Lowe
英名:Alfonsino [原], Alfonsin, Splendid alfonsino

千葉県勝浦産の全長約45cmの個体から摘出した左右の「魚のサカナ」。写真左の右側にある標本は、魚体を下ろしている時に包丁が当たったようで、烏口骨の『嘴』部分先端が欠けてしまった。写真右は、写真左の左側の標本を反対側から観察。

さて「金目鯛のキンメダイ」は、これまでに紹介したキンメダイ目の「魚のサカナ」の中では、やはり同じキンメダイ属のフウセンキンメナンヨウキンメのものに良く似た雰囲気があるように思われる。ただし「魚のサカナ」の形状に限って言えば、実は3種の中でキンメダイのものが最も「個性的」。烏口骨の上方突起(『背鰭』)部分が鋭角的に立ち上がり、また『嘴』部は先端に向かって尖るように細く伸びる。個人的には、3種の中では形のバランスが一番良いように思われる。

フウセンキンメ/ナンヨウキンメの「魚のサカナ」と同様に、「金目鯛のキンメダイ」の烏口骨上方の『背鰭』部に小孔が開いている(写真上左)。またキンメダイ属3種の耳石はどれもが独特の形状で面白い(写真上右/実際は同種の個体レベルでもバリエーションがありそう:下記参照)。



日本近海に生息するキンメダイ科の魚は2属4種のみであるが、キンメダイ属の3種(キンメダイ/フウセンキンメ/ナンヨウキンメ)は体色なども似ているので、同定ポイントを知らないとその見分けは案外難しいかも知れない。今回の個体の後鼻孔は細長いスリット状であったことからキンメダイであることがほぼ確実であったが、念のため「日本産魚類検索 第2版」のキンメダイ科の検索の鍵を辿り、1)背鰭は4棘14軟条(写真中段左)、2)臀鰭基底長は背鰭基底長より長い、3)臀鰭は4棘27条、4)涙骨に鋭い1棘がある(ただしフウセンキンメやナンヨウキンメほどは目立たない)、5)体はやや低く、体長は体高の2.8倍(2.5〜2.9倍)、6)後鼻孔の形は細長いスリット状(写真中段右の緑矢印「2」)、7)体の背部の鱗の後縁は滑らか(写真下段右)などの形質からキンメダイであると判断。

ちなみにキンメダイ幼魚の背鰭の一部は長く伸びるために「糸ヒキキンメ」などと呼ばれるとのこと(こちらを参照)。

2011年7月に八王子綜合卸売協同組合の望月水産で購入(当日は1匹2,200円)。この個体は刺身に。身は少々柔らかいが、脂の乗りも良く、旨味甘味を強く感じる。非常に美味い。あらは潮汁に。当然美味。「定番」の煮付けや鍋(魚しゃぶ、みぞれ鍋など)などにしても当然美味。

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本エントリーの初稿で紹介していた、全長約35cmの個体から摘出した標本。上の標本と比べると肩甲骨孔が細長い。またこの個体の耳石は、上の個体のものと形状が大きく異なる。八王子総合卸売センター内、総市水産で購入。

(2/26/13 全面改稿)