新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

51: ブリ

スズキ目スズキ亜目アジ科ブリモドキ亜科ブリ属
学名:Seriola quinqueradiata Temminck and Schlegel
英名:Japanese amberjack [原], Yellowtail, Buri

千葉県銚子産の全長約60cmの、関東では【イナダ/ワラサ】・関西では【ハマチ/メジロ】サイズの個体から摘出した左右の「魚のサカナ」。アルコールに浸漬していた時間が長過ぎて少々黄変してしまった。写真右は、写真左の左側の標本を反対側から観察したもの。

「鰤のブリ」は、特に烏口骨の『背鰭』や『嘴』部の特徴的な形状からも明らかなように、同じアジ科ブリ属に属するヒラマサカンパチのものに非常に良く似ている。ただし、1)烏口骨本体下部とカーテン様部分の間にある湾入部がカンパチのものより浅いが、ヒラマサのものよりは深い、2)烏口骨上方の『背鰭』部が丸みを帯びながら盛り上がり、『嘴』に向かう上縁が緩やかな曲線状になる、4)烏口骨の『嘴』部から付き出したキール部分の先端が非常に長いなど、いくつかの相違点を挙げることは可能。



「日本産魚類検索 全種の同定 第2版」を開き、1)腹鰭がある、2)背鰭棘部は皮下に埋没しない、3)側線に稜鱗(ゼイゴ)がない、4)背鰭軟条部は臀鰭軟条部始部よりもはるかに前にある、5)背鰭棘間は鰭膜で連続する、6)尾柄部に小離鰭がない、7)体側に暗色の横帯がない、8)背鰭棘部は淡色、9)体側後半部に暗色斜走帯がない、10)吻は尖る(写真中段左右)、11)眼の中心は吻端を通る線上にある(写真中段左)、12)眼を通る暗色斜走帯がない(写真中段左)、13)上顎上後角は角張る(写真中段右の赤丸)、14)胸鰭は腹鰭とほぼ同長(写真下段左/この写真では少々分かりにくいが)などの形質を確認してブリであると判断。

ブリの外見や体色はヒラマサに非常に似ているが、上の形質13と14(ヒラマサは上顎上後角が丸く、胸鰭は腹鰭より短い)を確認するのがもっとも簡単な「見分け方」。また体側の黄色縦線はブリの方がヒラマサよりも不明瞭な傾向がある(写真下段左)こと、この黄色縦線と胸鰭基底上端の隙間がブリの方が広い(写真下段左)こと、吻端はブリの方がより尖った印象になる(写真中段左右)こと、ブリの尾鰭下葉先端には広めの黄色域がない(写真下段右の青矢印)ことなども見分けのポイントとなる。

より詳細な『見分け方(各部の比較)』に関しては、ヒラマサのエントリーの最後にまとめました。ご参照下さい。

2012年12月に八王子総合卸売センター内、総市水産で購入(当日は1,100円/本)。刺身、刺身のおろしポン酢和え、照焼き、あらはブリ大根とブリ尽しを満喫。いわゆる「ブランド魚」でもなく、またブリサイズの大型個体でもなかったが、旨味/甘み/食感全て良く非常に美味い。

                                                                                                            • -

改稿前に紹介していた、2010年6月に購入した全長約50cmの【イナダ】サイズの天然モノから摘出した標本(産地や価格などは失念)。

(02/06/13 全面改稿)