新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

109: マゴチ

スズキ目カサゴ亜目コチ科コチ属
学名:Platycephalus sp.2
英名:Bartail flathead [原](ただしヨシノゴチの図表に記された英名)

旧標準和名コチ、地方によって別名クロゴチ(近縁のヨシノゴチ Platycephalus sp.1 は別名シロゴチ)。まだ学名が確定していないので、現状では「コチ属の一種(その2)」という表現になる注2。上の「魚のサカナ」は三重産の鮮魚から摘出。射出骨付き。「目」の部分が細長く、肩甲骨/烏口骨の上部が直線的であることが特徴と言えるが、非常に縦扁した(=左右に幅広い)独特の体型の魚の「魚のサカナ」にしては案外「普通」の形のようにも思われる。

この拡大写真は別の機会に取り出した宮城県産の個体のもの。「目」の部分が、上のものと比べると少々太くて丸い。


刺身やこぶ締めにして非常に美味。上の写真は三重県産のもの。角上魚類小平店で購入。

ちなみに同じような体型で名前に「コチ」と付く種が多いネズッポ科の魚(天ぷらの種となるいわゆる『めごち』:ヨメゴチセトヌメリなど)の「魚のサカナ」とは全く形が異なっている。ここからもコチ科(カサゴ目)およびネズッポ科(スズキ目)の魚達が系統的にかなり離れており、体型の相似は「収斂進化」の結果であることが理解できる。

(8/5/10 改稿)

【注】マゴチのように一般的な魚(少なくとも釣り人にとっては)に学名がないなんて、、、と少々意外な気もするが、近縁のヨシノゴチとともに以前はPlatycephalus indicusと同一種とされていたものが、研究が進んだ結果、これらが P. indicus とは別種であることが判明。ただ現時点ではまだマゴチ/ヨシノゴチの記載論文が出版されていないため、学名(正確には種名)が確定していないとのこと。