新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

135: テンス

スズキ目ベラ亜目ベラ科モチノウオ亜科テンス属
学名:Xyrichtys dea (Temminck et Schlegel)
英名:Goddess razorfish [原], Blackspot razorfish, Leaf wrasse

愛知県一色産の体長20cmほどの個体から摘出。肩甲骨/烏口骨の一部と擬鎖骨が融合しているのをそのまま摘出したもの。烏口骨の前/後部の境目が細くなり、絞られたような形になっている。また写真右/左は別の個体から摘出したものだが、烏口骨の形が同一種の標本にしてはかなり異なっている。

擬鎖骨から取り外した「魚のサカナ」の標本2個(上の擬鎖骨付き標本の反対側になる)。特に烏口骨の『嘴』下部のカーテン様の部分の形は多様であり、この部分に関して個体差(および左右の形の差)がかなり大きいことが分かる。

背鰭の第2棘と第3棘の間が大きく空き、前側がヨットの帆のようになるのがテンス属の大きな特徴。

テンスには口縁から鰓蓋方向に伸びる溝(写真左の緑矢印)が存在。口元の歯(いわゆる「出っ歯」)からベラ科の魚であることが理解できる。写真右は背鰭下の黒斑の拡大図。青色帯で縁取りされている。10年以上前に、和歌山県太地の漁港で釣り上げた時に、地元では「カンノンダイ」と呼ばれていると教えてもらった。

愛知県一色漁港にある「三河一色さかな村」で購入したもの。今回は煮付けにしてみたが、多少パサ付いた感じはあったものの、まずまずの味。テンスのみ大小10匹ほど盛られて200円(!)という完全な「雑魚」扱いだったが、コストパフォーマンス的には十分「お買い得」ではないかと思う。

注:2005年出版の「新訂原色魚類大圖鑑」にテンスの学名として掲載されているIniistius dea は、FishBaseによると現在はシニアシノニム扱い。またネット検索などでヒットする Xyrichthys dea (属名に"h"が一つ多い)はミススペリングだそうなのでご注意を。