新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

141: ニギス

ニギス目ニギス亜目ニギス科ニギス属
学名:Glossanodon semifasciatus (Kishinouye)
英名:Deep sea smelt [原], Japanese silverside, Pacific argentine, Halfbanded argentine

愛知県形原産の鮮魚(体長20cm弱)から摘出。サンバダンサーの頭に付けられた羽のような巨大な射出骨と、写真手前方向にリングのような構造を作る(右の標本の左にある「影」に注目)中烏口骨が特徴的。写真左の左側の標本は、胸鰭の軟条付きで摘出したもの。烏口骨の中程に小孔が開いているが、右側の標本の同じ位置に孔はない。烏口骨の『嘴』は比較的太めだが、上方の突起状構造は小さい。

下顎が上顎より突出することで近縁のカゴシマニギスと、また吻の長さが眼径よりも長く、臀鰭の軟条数が12以下であることでイチモンジイワシと区別できる。

今回はそのまま塩焼きに。旨味も多くなかなかの美味。基本的に安価なのも嬉しい。ただニギスの鮮魚は身が少々水っぽく柔らかいので、少し干して水分を飛ばした方がより美味しく食べられるかも知れない。

注:原棘鰭上目(キュウリウオ目/ニギス目/サケ目/カワカマス目が含まれる)の分類体系は非常に不安定で、ニギスは、2000年発行の「日本産魚類検索 全種の同定 第2版」では『ニギス目ニギス亜目ニギス科ニギス属』とされていたが、2005年発行の「新訂原色魚類大圖鑑」では『キュウリウオ目ニギス亜目ニギス科ニギス属』(この時点での「キュウリウオ目」は、ニギス亜目とキュウリウオ亜目をまとめたもの)とされるなど、混乱を極めていた。2006年発行の Joseph S. Nelsonの著作「Fishes of the World, 4th Edition」 で、キュウリウオ目/ニギス目/サケ目/カワカマス目は4つの独立した目であるとされたが、この分類体系も今後再検討される可能性があるらしい。本稿では「日本産魚類検索 全種の同定 第2版」と「Fishes of the World, 4th Edition」に準じ『ニギス目ニギス亜目ニギス科ニギス属』とした。