新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

156: クロホシイシモチ

スズキ目スズキ亜目テンジクダイ科テンジクダイ属
学名:Apogon notatus (Houttuyn)
英名:Blackspot cardinalfish [原], Spotnape cardinalfish

神奈川県城ヶ島産の体長10cm程度の鮮魚(釣リの獲物)から摘出。基本的な特徴は前回紹介した同科同属のネンブツダイのものと良く似ているが、1)全体的に「魚のサカナ」の『体高』が低い(上下方向に圧縮された感じ)、2)烏口骨上部の「ナイフのような形(『背鰭』に相当する部分)」がより幅広に盛り上がる、3)ネンブツダイでは肩甲骨孔の真上にある追加の小孔は、肩甲骨孔の斜め前方に存在し(上の写真では判別困難)、その径はより小さめである、などの点で異なる。また上の写真では左右の標本とも『背鰭』に相当する部分に小孔が開いているが、前回紹介したネンブツダイの標本では小孔が確認できたものは片方のみ、、、ただしこの形質(?)は、単なる「個体差」である可能性が高い。

「○○イシモチ」の名前の通り、耳石は体長に比してやはり大きい、、、が、一般に「イシモチ」と呼ばれるシログチ(スズキ目スズキ亜目ニベ科)などとは_別の科_なので念のため。


ネンブツダイと同じ様な黒色円斑が尾柄にあるが、1)体の中心線付近の太い暗色縦帯は眼の付近で止まり鰓蓋まで伸びないこと、2)背中側を走る暗色縦帯がないこと、3)下顎の先端部も黒くなること(写真下段左)、4)眼の上後方に1対の黒点があること(写真下段右/故に「クロホシ」)などで区別できる。

職場の関係者が城ヶ島付近で釣った様々な『雑魚』を「魚のサカナ」の調製用にと提供してくれたもの。一つ残念だったのは(とはいえ「魚のサカナ」の紹介という、この『図鑑』の第1目的のためには全く支障なしだが)、ひどい悪臭を放つことで悪名高いネズッポ科のヤリヌメリと一緒にクーラーに入れられてしまったらしいこと、、、鮮度的にも元々今一つであったが、ヤリヌメリの「移り香」ならぬ「移り臭」があまりにも強烈で、今回は『食味』を確認することを諦めざるを得なかった。ということで、ここから先の数エントリー(=城ヶ島産の魚達)で「食味」について言及してある場合は、過去の記憶に頼ったものであることを予めご了承頂きたい。

ちなみにこのクロホシイシモチはまだ一度も口にしたことはない。

注:我が家に来る前にヤリヌメリは既に処分済だったのだが、消毒液のような刺激臭が他の魚の身にも染み付いてしまっており、ショウガをたっぷり効かせて関東風に甘辛く煮付けたあとですら消えなかった。恐るべしヤリヌメリ。