157: トラギス
スズキ目ワニギス亜目トラギス科トラギス属
学名:Parapercis pulchella (Temminck and Schlegel)
英名:Rosy grubfish [原], Harlequin sandsmelt
神奈川県城ヶ島産。体長約15cmの鮮魚(釣リの獲物)から摘出。射出骨付き。これまでに紹介した同科同属のクラカケトラギスやオキトラギスの「魚のサカナ」に良く似ているのは予想通り。(I) 肩甲骨の先端部が大きく折れ曲がること、(II) 肩甲骨孔が烏口骨に接していること、(III) 肩甲骨と烏口骨の上側のラインが少々凸凹になること、(IV) 烏口骨の『背鰭』部分に小孔が存在することなどはトラギス属の「魚のサカナ」に共通した特徴と言えそうである。反対に「虎鱚のトラギス」独自の特徴としては、1)肩甲骨先端部が他の2つのものより長いこと、2)肩甲骨と烏口骨の下側のラインが、両者の境目部分でより深く曲線的に貫入すること、3)烏口骨の『嘴』の上部(『背鰭』)がオキトラギスのもののように曲線的に盛り上がるが、『嘴』の先端に向けてより手前で細くなること、などが挙げられる。また烏口骨の『嘴』部分の下側の様子や烏口骨を縦貫する「筋」が直線的なことなどから、どちらかといえばクラカケトラギスのものにより近い印象を個人的には受ける。
標準和名に「ギス」と付くが、シロギスなどスズキ目スズキ亜目のキス科の魚とは亜目のレベルで異なる(=系統的にかなり離れている)。上の写真では少々色がくすんでしまっているが、歌舞伎の隈取りのような頭部の模様(写真下段左側は頭部を腹側から見たところ)と、体躯部分の赤褐色のバックに太めの白ラインという派手な体色が外見上の大きな特徴。また尾鰭の背側先端部の軟条が他より少々長く突出する(写真下段右)。
ヤリヌメリの餌食になった「城ヶ島産シリーズ」第2弾ということで今回は口にしていないが、以前天ぷらにして食べた時はなかなか美味かった記憶がある。