新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

202: ヒメジ

スズキ目スズキ亜目ヒメジ科ヒメジ属
学名:Upeneus japonicus (Houttuyn)
英名:Stripedfin goatfish [原], Bar-tailed goatfish, Bensasi goatfish, Japanese goatfish, Red mullet goatfish, Striped goatfish, Yellowfin goatfish

地方名:金魚(三河湾)、金太郎(山口)、べにさし(長崎)など。愛知県三河湾一色産の体長約13cmの個体から摘出した左右の「魚のサカナ」。左の標本は射出骨付き。全体的には他のヒメジ科の「魚のサカナ」の形と共通した特徴を有していると言えるが、1)肩甲骨が上下方向に比較的高く、逆に横方向には圧縮されたような形であること、2)烏口骨上方の突起部分(『背鰭』に相当)が小さく見えること、3)この部分から『嘴』部の中程辺りまでがかなり細く見えることなどは「比賣知のヒメジ」の特徴として挙げられる。また「数個体を調べた限り」という条件は付くものの、主となる肩甲骨孔の上にある小孔は左右差/個体差なく全て2個であり、その位置もほぼ同じであったことから、より大型になるウミヒゴイ属のもの(オオスジヒメジホウライヒメジ)ほどのバリエーションはない模様。

他のヒメジ科の「魚のサカナ」同様に烏口骨の『背鰭』に相当する部分が肩甲骨/烏口骨が作る面とは垂直方向に立ち上がっているが、「比賣知のヒメジ」におけるその上方先端部は尖る。



今回の魚は、1)第2背鰭の基底前半が鱗に覆われる(写真中段右の緑四角)、2)尾鰭上葉に4本の暗色帯があり、下葉には暗色帯がない(写真下段左)、3)第1背鰭は7棘で先端部は黒くない(写真中段左)、4)体側に縦帯がないなどの形質からヒメジであると判断。またヒメジ科の魚の特徴である顎下のひげだが、ヒメジのものは黄色である(写真下段右)。

年末の帰省時に再訪した「三河一色さかな村」で購入(ヒメジばかりが大小混じりで数十匹入って300円と格安)。まずは出来る限り大きめの個体を刺身に。クセはなく身質も悪くないが、残念ながら旨味があまり多くない。もちろん不味くはないのだが、個人的にはちょっと物足りない感じ、、、ただし、当日食べ比べたのが、この先に登場する非常に旨味の多い魚ばかりだったので余計にそう感じた可能性はあり。残りは干物と唐揚げに。干物は炙ってやると香りが立ち、水分が抜けた分だけ旨味も凝縮しているため非常に美味。残念ながら自分は食べそびれてしまったが、家人によれば唐揚げも美味かったらしい。ネットで検索すると、長崎の方では「ヒメジの南蛮漬け」は定番の正月料理の一つで、また鮮魚を酢締めにしたものも美味だとのこと。次の機会には是非試してみたい。

さて、ここから10エントリーほどは、再度「さかな村」で手に入れた『雑魚のザコ』シリーズになります。お楽しみに。

注:くどいようですが、本「図鑑」における『雑魚』という言葉の中には「つまらないもの」という意味は全くありません。逆に愛情をたっぷり込めてこの『雑魚』という言葉を使っています。