新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

210: ワキヤハタ

スズキ目スズキ亜目ホタルジャコ科オオメハタ属
学名:Malakichthys wakiyae Jordan and Hubbs
英名:Silverbelly [原]

地方名しろむつ(白ムツ/三河湾)、しょうわだい(昭和鯛/尾鷲地方)、でんでん(沼津/小田原)など(ただし同じオオメハタ属のオオメハタやナガオオメハタとほとんど区別されていない)。愛知県蒲郡市西浦産の全長約21.5cmの個体から摘出した左右の標本。写真右は、写真左の左側の標本を反対側から観察。「脇谷羽太(?)のワキヤハタ」には、1)全体として左右方向に長い、2)肩甲骨が四角ではない、3)肩甲骨と烏口骨本体の結合部の上方が尖らないため、この部分が五角形のようにはならない、4)『嘴』部分が直線的で長いなどの特徴があり、これまでに紹介したホタルジャコ科の「魚のサカナ」と比べると、よりスズキ亜目の「魚のサカナ」らしい形に見える。また上の標本では、これまでに紹介していた愛知県西尾市一色産のもの(下記参照)と比べて肩甲骨孔が顕著に小さい。



写真撮影時には『日本産魚類検索 第2版』のホタルジャコ科の同定の鍵を辿り、1)臀鰭棘は3本(写真下右の黄緑ローマ数字)、2)腹鰭棘の前縁はなめらか(写真下段左)、3)肛門(写真下左の赤丸)は臀鰭起部(同青線)に近い、4)下顎先端に(一対の)棘がある(写真中段右の赤丸)、5)臀鰭基底長(3.2cm/写真下右の赤線)は臀鰭最長軟条長(1.6cm/同青線)より長い(『第3版』では、臀鰭最長軟条長が基底長の0.7倍より短いという検索キーになっている)などの形質を確認してワキヤハタであると判断。ちなみにこの個体の側線有孔鱗数は50であった。

標準和名に「ハタ」と付いているが、実際はスズキ目スズキ亜目ハタ科の魚とは遠縁の魚である。

 

2012年12月に西浦鮮魚マーケットの石川商店で購入。ワキヤハタ大小13匹とオオメハタ1匹の計14匹で300円で購入。最高の鮮度ではなかったが、塩焼きにすると適度な食感があり、旨味の含有量もなかなか多い。美味。

                                                                                  • -

本エントリーの初稿で紹介していた、愛知県西尾市一色産の全長約15cmの個体から摘出した左右の標本。体長や「魚のサカナ」のサイズに比してワキヤハタの耳石はかなり大きく、長い所で約8mmもある(写真右)。

臀鰭基底長は最少軟条長よりも遥かに長い(写真右)。また肛門(同黄緑矢印)は臀鰭に近いところにある。

2010年12月に三河一色さかな村で購入した個体(同じサイズのワキヤハタが20匹ほど盛られて数百円)。「刺身OK」の表示があったので、まずは半数を刺身に。サイズがサイズなので下ろすのは大変だったが、上品な旨味があって中々の美味。また残り半数は干物に。頭/内臓/鰓/鱗を除いて、開きと丸干しの両方を試してみたが、個人的には開きの方が好み。一緒に食べたヒメジ程ではなかったが、旨味も多くて美味い。ただし背鰭の棘が鋭く、何度も口の中に刺さって厄介だったのもまた事実。干す前にキッチンバサミなどで背鰭をしっかり処理しておいた方が良いと思う。

(2/28/14 全面改稿)