新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

248: オウゴンムラソイ

スズキ目カサゴ亜目メバルメバル
学名:Sebastes pachycephalus nudus Matsubara
英名:FishBase、新訂原色魚類大圖鑑とも英名の記載なし

北海道函館産。全長約25cmの個体から摘出した「魚のサカナ」。射出骨付き。「黄金斑曹以のオウゴンムラソイ」も、予想通りフサカサゴ科メバル属の「魚のサカナ」の基本形。その中でも、肩甲骨前端の尖り具合、肩甲骨孔のサイズと形状、烏口骨の上方突起(『背鰭』)部分の形状などから、シマソイのものに最も似ているように思われるが、1)烏口骨の上方突起(『背鰭』)の高さはオウゴンムラソイのものの方がより低い、2)第3/第4射出骨の作る孔が細長い、3)烏口骨下部がより深く湾入するなどの点で異なっている。また肩甲骨孔の周りの骨は少々薄くなっているように見えるが、「魚のサカナ」全体としてはかなりしっかりした頑丈な骨。



今回の魚は、1)側線は溝状でない、2)胸鰭に遊離軟条がない、3)胸鰭も背鰭も普通の大きさ、4)胸鰭に欠刻がない、5)背鰭は13棘13軟条、6)胸鰭上半部の後縁は丸い、7)眼窩下縁に棘がない(写真中段左)、8)頭頂棘がある(写真中段左)、9)下顎は突出せず、その先端は尖らない、10)尾鰭に広い白色横帯がなく、その後縁は丸い(写真中段右)、11)眼隔域はくぼむ(写真中段左)、12)腹鰭に褐色小斑点があるが不明瞭、13)背鰭棘条部前方の基底付近の背側部分は微小鱗に覆われない(写真下段左)、14)体は鮮黄色斑と暗褐色斑が混じり合う(写真下段右)などの形質からオウゴンムラソイであると判断した。

八王子総合卸売センター内、高野水産で購入(当日は1,000円/キロ:1匹300円ほど)。北海道から八王子まで旅をしてきたものだが、眼の色や鰓の様子から判断してかなり新鮮な魚だったので、一部を生食。身質は良く脂は強めに感じるものの、旨味はさほどでもないというのが正直なところ。そこで残りの身は唐揚げに。棘条部はさすがに強すぎで食べられなかったが、各鰭の軟条部分もパリパリとした食感が心地よい。旨味も立って美味。

注:「日本産魚類検索 第2版」pp. 1526-27には、ムラソイ(Sebastes pachycephalus pachycephalus Temminck and Schlegel)、ホシナシムラソイ(Sebastes pachycephalus nigricans (Schmidt))、オウゴンムラソイ(Sebastes pachycephalus nudus Matsubara)、アカブチムラソイ(Sebastes pachycephalus chalcogrammus Matsubara)のムラソイ類4亜種の分類の歴史的経緯が記されている。この項の筆者の中坊徹次教授によれば、将来的にはムラソイ類は「ムラソイ/ホシナシムラソイ」と「オウゴンムラソイ/アカブチムラソイ」の組み合わせで各亜種がまとめられ、2種に再分類される可能性があるとのこと。