新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

263:ギンアナゴ

ウナギ目アナゴ科クロアナゴ亜科ギンアナゴ属
学名:Gnathophis nystromi nystromi (Jordan and Snyder)
英名:Bucktooth conger [原; ただしギンアナゴとニセギンアナゴで共通]

愛知県一色産の全長34cmの個体から摘出した左右の「魚のサカナ」の標本。内側が肩甲骨、外側が烏口骨になるように並べてある。「銀穴子のギンアナゴ」は、ウナギ目の「魚のサカナ」の中ではウナギハモのものよりも、同じアナゴ科のマアナゴのものに似ている。肩甲骨/烏口骨が『台形』を作り、その上に比較的小さな射出骨の固まりが乗っている(ただし上の標本では射出骨部分があまりきれいに取り出されていない)。肩甲骨孔は肩甲骨/烏口骨の接合部近くにあり、そこから肩甲骨の先端方向に引っ掻いたようになっている。全体的に軟骨質の部分はあまり多くない。写真右は、写真左の右側の標本の拡大図。



「日本産魚類検索 全種の同定 第2版」のアナゴ科の『同定の鍵』を辿り、1)体が著しく細くない、2)胸鰭は大きい、3)肛門より前の長さが短い(体長の約40%)、4)後鼻孔は目の中央より上にある(写真中段左の青丸の位置/非常に小さいのでこの写真では判別出来ないと思うが)、5)上唇に沿う溝がある(写真中段左の赤矢印)、6)尾鰭中央に黒色斑がない(写真中段右)、7)下唇は短く、閉口時に前上顎骨歯が露出する(写真中段左の緑線が下顎の前縁)、8)上唇の溝は浅い、9)主上顎骨歯は数列あり歯帯を形成、10)垂直鰭に黒色縁辺がある(写真中段右および下段左の右上)、11)肛門前側線孔数は30程度、12)胸鰭付近の側線孔は側線管の上方に位置するように見える(写真下段右の赤矢印/元写真では判別困難のため画像処理済み。緑線が側線管上縁/紫線が下縁)などの形質からギンアナゴと判断。また「新訂原色魚類大圖鑑」に記された、体色は銀白色(写真下/亜種であるニセギンアナゴは淡褐色)という形質にも矛盾しない。

三河一色さかな村」の高橋水産で購入したもの(ギンアナゴを含めた色々な魚が盛られて一皿500円)。今回は背開きにして天ぷらに。ホクホクした身質。マアナゴほどの旨味はないが、噛んでいると上品な旨味が出てくる。脂の乗りはそれほどではないが、淡白でなかなか結構な味。擬鎖骨が非常に固いので、肩帯部より前をバッサリ除いてしまった方が口当たりが良いと思う。