新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

290: モロ

スズキ目スズキ亜目アジ科アジ亜科ムロアジ
学名:Decapterus macrosoma Bleeker
英名:Slender mackerel [原], Long-bodied scad, Layang scad, Cherootfish, Round scad, Shortfin scad, Slender mackerel scad, Slender scad

福岡県産・静岡県伊東市加工の開き干し(全長約30cmの雌個体:骨の隙間に卵巣の一部が残っていたことから判断)から摘出した左右の「魚のサカナ」。右側の標本は烏口骨の『嘴』部が元から折れており、また左右の標本ともエタノール固定中に肩甲骨部分が黄変してしまった。「室(魚偏に室と書く場合も。ちなみに「ムロアジ」の「ムロ」が訛って「モロ」になったと推察できる)のモロ」は、アジやムロアジの仲間のものに見られる基本的な特徴(三角形に近い肩甲骨/烏口骨の『背鰭』部分はあまり高くない/烏口骨下部にカーテン様の構造が広がる)を共有しており、これまでに紹介してきたものの中ではオアカムロのものに最も似ている(ただし「室のモロ」の方が烏口骨本体の上縁がより深めに湾入する印象)。写真右は写真左の完全な方の標本を反対側から観察したもの。この標本では上方の『背鰭』部分に小さな孔が開いているが、反対側の標本ではこの孔は観察できない(=モロの「魚のサカナ」の特徴とは言えない)。



何時ものように「日本産魚類検索 第2版」を開き、1)腹鰭があり、背鰭棘部は皮下に埋没しない、2)第2背鰭基部より後方に側線直走部の3/4程度を被う稜鱗(ゼイゴ)がある、3)脂瞼は発達、4)尾柄部に小離鰭がある(写真中段左の赤矢印/ムロアジ類の特徴)、5)背鰭前方鱗域は眼の中央に達しない(写真中段右のそれぞれ赤線と緑線/モロを見分ける上で重要な形質の1つ)、6)主上顎骨後端は上部がわずかに湾入し、その下方は丸く突出する(写真下段左の赤丸)、7)胸鰭先端は第2背鰭起部直下に遥かに届かない(写真下段右のそれぞれ赤線と緑線)という形質を確認してモロであると判断。

静岡県伊東市にあるグルメシティ伊東店で購入した干物(158円/匹)。表示は「むろあじ干し」。ムロアジの仲間ということで血合い部分は多めだが、脂の乗りは良く旨味成分もかなり多い。焼いたらパサつくかな?と思っていたが、そのようなことも無かった。期待していた以上の美味。