新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

22: サケ

サケ目サケ科サケ亜科サケ(タイヘイヨウサケ)属
学名:Oncorhynchus keta (Walbaum)
英名:Chum salmon

通名/地方名シロザケ(『新訂原色魚類大圖鑑』では別名扱い)、捕獲時期によってトキシラズ(時知らず)、時鮭、鮭児、アキアジなど。北海道産の全長約70cmの活け〆鮮魚個体(6月初旬に捕獲されたトキシラズ)から摘出した左右の「魚のサカナ」。太くて立派な中烏口骨付き。ちなみに肩甲骨と烏口骨の間は幅広の軟骨質で、本稿の写真ではエタノールが完全に蒸発していないので白く見えている。

写真上の右側の標本を拡大して両側から観察。「鮭のサケ」の形は、これまで紹介してきた他のサケ科の「魚のサカナ」と基本的な特徴をほぼ共有しており、それぞれを区別するのは(魚体の外見と同様に)なかなか難しい。

そんな中で「鮭のサケ」特徴を強いて挙げるとすれば、1)中射出骨の先端のラインは肩甲骨の先端を越えない(写真上左)、2)烏口骨上方の『背鰭』部分先端は比較的高く、その前縁は曲線状に湾入する(写真上右)、3)『背鰭』部分には2〜3個の小さめの孔が開く(写真上右)、4)烏口骨の下縁の湾入部は比較的浅い、5)烏口骨の『嘴』部分は比較的短いなどといったところ。



「日本産魚類検索 全種の同定 第2版」を開き、1)頭部が側扁し、頭頂部は膨出する、2)鋤骨・口蓋骨の歯帯は『小』字型(写真下段左)、3)体(および頭部)の背面に黒点がない(写真中段右および写真下左)、4)尾鰭に銀白色の放射条線がある(写真下右)、5)海洋生活期で背部は青黒色(写真下段左)などの形質からサケであると判断。内臓と鰓が既に除去されて売られていた成魚であるため、パーマークの確認と鰓耙数の計測は出来なかった。ちなみに本稿の魚体の写真は全て左右反転させてある。

2012年6月に八王子綜合卸売協同組合のやまぎし水産で購入(当日はキロ1,200円/2.57kg)。活け〆にされ、内臓と鰓が既に除去されて売られていたもの。身は柔らかく、他のサケ科の魚と同様に非常に身割れしやすい。半身はホットプレートの上でチャンチャン焼きに。味噌の焦げる香りと味が、サケの風味に本当に良く合う。しみじみ美味い。野菜がたっぷり取れるのも嬉しいところ。残りの半身は切り身にして塩焼きに。旨味も多く、こちらも文句なしの美味さ。また「あら」はジャガイモと一緒に味噌汁に。季節を選ぶがこちらもホッとする美味さ。

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本エントリーの初稿で紹介していた、北海道産の切り身から摘出した標本。烏口骨後部の『嘴』の先が少々欠けている。アルコール処理および乾燥前に撮影。

(11/04/12 全面改訂)